クーリングダウンで血中乳酸濃度を早く下げたい理由


クーリングダウンが必要な事は他の記事で紹介していますし、アスリートならみんな知っていることです。

ウォーミングアップの記事も参考にしてください。

今回は、クーリングダウンについてもう少し詳しく紹介します。
 
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人間の体は弱酸性

ボディーソープのコマーシャルでよく耳にする言葉です。素肌に優しい弱酸性です。

短時間に大きなエネルギーを発生させると同時に乳酸も産生されます。この乳酸は酸性です。昔は乳酸=疲労物質というふうに言われていました。最近では乳酸はエネルギー源であるとも言われています。しかしながら私たちが速く走るときに乳酸をエネルギーとして使ってるかというとそうではありません。私たちの体では乳酸を分解して再びエネルギーとして使うことができるようになっています。そういった広い意味で乳酸=エネルギー源であると考えることもできます。

しかし、高強度のトレーニング直後またはレース直後に体の乳酸濃度は高くなっています。乳酸は筋肉の収縮を阻害して運動を妨げます。これは好ましいことではありません。少しでも早く高い乳酸濃度を下げて元の値に戻すことが、運動を再開するためには必要ですし、すばやい疲労回復にも必要となります。全力で走った後の体は酸性度が高まっていると言えます。
 
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体の酸性度が高い=ストレス

人間の体もある意味錆びてしまいます。酸性度を高い状態を保つこは人体にとって好ましくありません。ストレスと言えます。

人は、交感神経と副交感神経を切り替えている話を、ストレッチの方法で紹介しました。

人は、ストレスがかかっているときは交感神経が優位になります。ストレスに耐えているからです。逆に、ストレスがなくリラックスしている状態では副交感神経が優位に働きます。
 
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効率的な回復のためには成長ホルモンが必要

本題に入ります。血中乳酸濃度を早く下げると言う事は、体からストレスを早く取り除くと言うことです。血中乳酸濃度を早く下げることで、早く体がリラックスした状態になり、さらにクーリングダウンの軽い運動によって副交感神経が優位に働きます。この時に成長ホルモンの分泌が多くなります。
 
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成長ホルモンとは?

成長ホルモンは、アミノ酸で構成される物質です。

主な働きは、組織の成長促進と代謝コントロールです。子供の骨や筋肉の成長には欠かせません。また、大人でも脳の疲労回復、脂肪燃焼、病気の抵抗力、体組織の修復や再生等に関わっています。

成長ホルモンは、副交感神経が優位の時に多く分泌されますが、最も多いのは睡眠時間中です。
 
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まとめ

クーリングダウンは、その日の最後にだけ行うものではありません。例えば、陸上競技の大会では、1日に2本、3本走ることがあります。大会が2日や3日続きの場合は、1日何本か走るのを3日続けます。記録会でも、1日2本や3本走る場合があります。

大きな大会では、予選や準決勝レースの後に、決勝が控えていますので、余計な疲労状態から早く回復することが、次への準備につながります。

レース後に、何もしないで控え場所に戻って休むのと、きちんとダウンをしてから戻るのとでは、筋肉の余分な張りが違います。

クーリングダウンの適切な時間は?

レース直後30分以内、回復のゴールデンタイムにプロテインを摂取、クーリングダウンで血中乳酸濃度を早く下げ、交感神経と副交感神経の切り替えを行い、ストレッチとマッサージで副交感神経をさらに優位にして、軽い食事でエネルギーとミネラル類を補給、短時間の昼寝で成長ホルモン分泌促進して疲労回復、この流れを考えて行う必要があります。

次のレースまで時間があまり無い場合は、ダウンをきちんとして、アップは必要最小限で行えば良いです。その時も、落ち着かず歩き回るのでは無く、可能なら15分程度の短時間の昼寝を入れるようにしましょう。交感神経と副交感神経の切り替え、そして再び交感神経へ切り替える行動がダウンとアップです。

身体のしくみを知って、レース間の過ごし方で失敗しないようにしましょう。

疲労因子ファティーグファクター、乳酸、その他の疲労を測る物質について

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フルマラソン時のエネルギー補給

自分のエネルギー容量を知ること。

フルマラソンのレース直前でタイムを短縮する方法があります。

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それは、エネルギー補給を考えることです。本来は何ヶ月も、何週間も前から考えておいて、練習や練習として臨むレースで試すことが理想です。しかし、直前でこの方法を知って、にわか仕込みの知識でもやらないよりは遥かにマシでしょう。

 

フルマラソン時にエネルギー補給すべきタイミング

結論から書きますが、エネルギージェル1袋180kcalを次の距離を目安に摂取します。
20km、25km、30km、35kmの4回です。トータル180kcal×4=720kcalです。

1袋あたり約4km走るエネルギーに相当します。1km45〜50kcalと考えます。様々な文献やインターネットの情報では1kmあたり自分の体重kcalの説もありますが、ポラールの心拍計では45〜50kcalで算出されます。何を信じるかは自分次第なので、自分なりの根拠を持つことも大切です。あくまでも考え方の一つとして、だいたいで良いのです。
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エネルギージェル

 

走るためのエネルギー貯蔵量

それでは、これから結論の理由を書きます。

走ることに使えるであろう、貯蔵されているエネルギーは約1500〜1600kcalだと考えられます。個人によって体格差があり、個々に異なるものですが、大体これくらいと考えておけば良いでしょう。女性なら100〜200kcal少なくなります。しかし、走る時の消費カロリーも身体が小さければ少なくなるので、これから紹介する考え方は男女同じで良いと思います。

ここでは皮下脂肪のエネルギーを考慮しません。理由は、フルマラソンでは脂肪をエネルギーに変換するには短時間すぎるからです。

雪山で遭難時等、数日かけて脂肪が分解されて生命維持のためのエネルギー源となることは有名ですが、それを走る時に使えるのか?というとほとんど使われていないと考えてよいでしょう。

フルマラソンで消費するエネルギーの内、脂肪がエネルギー源になるのは約3%だそうです。大半が肝臓と筋肉に貯蔵されているグリコーゲンです。

 

エネルギーの足し算と引き算

何もしなくても24時間で消費する基礎代謝が約1500〜1600kcalです。それと同じくらいのエネルギーが肝臓や筋肉内にあると考えてください。

レース前日の夕食を摂り体内のエネルギーは最大の状態になります。しかし、睡眠中にもカロリーを消費して起床時には体内のエネルギーは約1000kcalです。朝食を食べて1600kcalに戻ります。

アップで3km走り流しをすれば約150〜200kcal消費します。アップ後にエネルギーのゼリーを摂取して、体内のエネルギー量を戻します。

それでは、エネルギー摂取なしでフルマラソンを走ったらどうなるか考えてみます。
貯蔵エネルギーを多めの1600kcalと仮定します。
10km450〜500kcal消費、残り1100kcal
20km900〜1000kcal、残り600kcal
30km1350〜1500kcal、残り100〜250kcal→約2km〜5km分しか残っていません!!
32〜35kmでエネルギー切れ。
突然ガクッとペースが落ちます。
これが30kmとか35kmの壁と言われるものの正体です。

実際は壁では無く、エネルギー切れだと私は考えています。

エネルギーはあるけど使われない場合もあります。身体内のミネラルバランスが崩れると、エネルギー供給が困難になります。

発汗による水分損失を補わないことによるパフォーマンス低下も起こります。

脚筋力のダメージにより、脚が動かなくなる場合もあります。ジョギングばかりで距離を踏んでいる人に起こりやすく、レースペースより速い流しやインターバル、レペティションをやっておくことで、走るための脚筋力は強化されます。筋力不足が原因です。

このように30kmを過ぎてから、壁と言われる急激なペースダウンの原因はいつくかありますが、エネルギー補給をしっかりすることで原因の一つは防ぐことができます。

無補給で走ると、42kmまでには約10km分不足=500kcal足りません。1袋180kcalのエネルギージェル3袋で540kcalなので、余裕を見て4袋720kcalで考えました。

エネルギー切れを防ぐために、20km以降エネルギーを定期的に補充してエネルギー切れを防ぐのが私の考える作戦です。

エネルギージェルは単糖類なのですぐに吸収されます。すぐと言っても30分程かかると思われます。レベルにもよりますが、距離にして8〜5km先のエネルギーになります。

ですので、エネルギー切れになる前に計画的に摂取する必要があります。

以上が、私が提案するフルマラソンを短期間で考えて速くなる方法です!
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単糖類と多糖類

追加して知識の勉強です。先ほど単糖類という言葉を書きました。もう一つ、多糖類があります。これはお米やパン、麺等の炭水化物です。胃で分解されて単糖類になってから腸で吸収されます。だからエネルギーに変わるまで2時間〜2時間半くらい時間がかかります。

ここで、単糖類と多糖類のすごい組み合わせの食べ物を紹介します。

あんぱんです。
外のパンは多糖類。中のあんこは単糖類。

エネルギーになる速度が違うのです!
あんこがまずエネルギーとして使われ、その後パンがエネルギーになります。

だからと言ってレース30分前に食べるのはおすすめしません。3時間前には食事は済ませましょう。

もし、レース30分前にあんぱんを食べたらどうなるか。レーススタート時はあんこエネルギーが活躍します。しかし、レース中は交感神経が優位に働いているので、消化吸収の時に作用して欲しい副交感神経の働きが抑えられてしまいます。その結果、あんこはエネルギーになっても、パンが消化不良になってお腹が痛くなる可能性があります。これが、レース直前に固形物を食べた時の腹痛の正体です。

 

まとめ、根拠の無い気合や根性では速くなれない。根拠がある知識を身につけるだけで走りは変わる。

以上のように、走ることだけがタイムを短縮する方法ではありません。走るための知識をいかに正しく吸収して、自分の生活に当てはめるかも大切な要素になります。

このホームページでは、この走るための知識に重点を置いて紹介していきます。

勉強を継続することは、一時の根性を出すことよりも難しいことなのかもしれません。

根拠の無い気合いや根性ではパフォーマンス向上は望めません。

知識はとても大切です。

中長距離ランナーのエネルギー供給系の説明を詳しく見る

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