ラストスパートではストライドを伸ばすかピッチを上げるか?


結論は、ピッチを上げる意識をするべきだと思います。理由をこれから説明します。
 
 

レース時のピッチとストライドの関係

ストライドは走る歩幅の一歩です。

ピッチは脚の回転数を表すもので、1分間に何歩脚を動かしているかです。

私のレース動画を数えたものは、800mで1’56″で走った動画で400歩でした。一歩200cmのストライドということがわかります。

ピッチは1’56″=116″で400歩
116秒:400歩=60秒:x歩
x=(400×60)/116=206.89
1分あたり206.9歩になります。
 
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まずは自分のストライドとピッチを知ることから

自分のストライドとピッチを知らない選手は、一度レースの動画で数えて確認すると良いです。

100mごとに数えると、LAPタイムと歩数でピッチが計算できますし、練習での参考データになります。

レース序盤が一番元気で、ラストが一番動きにくいです。序盤、中間、ラストに分けて考えてみても良いでしょう。
 
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ピッチとストライドの関係は掛け算

ピッチ×ストライド

速く脚を回転させて、歩幅が長いことが速く走るために必要です。

一歩200cmの人Aと、一歩195cmの人Bがいるとします。

ピッチは同じ200歩/分なら、800m進むためには、Aは2’00″で400歩→200cm×400歩=800mゴールします。

Bは2’03″で400歩→195cm×410.25歩=800mです。
 
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ストライドを伸ばすことと、ピッチを上げること走るどちらがやりやすいのでしょうか?

Bが2’00″で走るためには、ピッチを上げるか歩幅を伸ばす必要があります。

ストライドを195cm→200cmに伸ばすか、ピッチを200歩/分→205.2歩/分に上げるかです。60秒で5歩増やす=6秒で0.5歩増やす=12秒で1歩増やすことになります。

どちらも800m2’00″になります。

私の考えでは、ピッチを速めることの方がやりやすいと思います。ストライドを5センチも伸ばすことを400回もやることは筋力的にものすごく負担が大きいと思います。ストライドを伸ばすことで疲れてしまうでしょう。筋力アップには時間を要しますし、簡単なことではありません。

一方、ピッチを上げることは、筋力的負担を増すというよりも、身体操作の技術や考え方を改善することでも実現可能だと思います。また、筋力よりも持久力に依存する考え方です。

この計算は、あくまでわかりやすく計算するためのもので、実際には後半になればなるほどストライドが短くなり、ピッチも上がりにくいです。

それを鍛えることがトレーニングの目的のひとつです。

ここで紹介する計算は、一つの考え方として捉えてください。
 
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自転車競技でも同じような考え方があります。

自転車の場合は、ピッチのことをケイデンスと言います。ストライドに当たるのはタイヤの周長です。タイヤのサイズによって決まってきます。27インチのタイヤ一回り2096mmです。ギヤは20段または22段が主流です。その時の速度や風、道路の斜度に応じて、自分がペダリングしやすいケイデンスに合わせて、小まめにギヤを変速して調整しています。

例えば、平地で時速40km/hで走っていて、それを維持するためにギヤを一枚重くしてグイグイとパワーで踏み倒すのか、ギヤを一枚軽くしてクルクルと速くペダルをまわすのか。

速度を一気に上げたい時はギヤを重くして強くペダリングしますが、それだと長く持たないのでまたギヤを落として次はクルクル回します。

重いギヤは筋力を使いすぎるので長く持ちません。後者は脚を動かし続けるため、心拍数が上がりやすいです。しかし長く維持できます。また、それらを意図的に使い分けることも大切です。向かい風や追い風によっても変えます。向かい風の時は軽めでクルクル、追い風の時は重めでパワーで。

自転車と陸上競技は似ているなと感じました。

私の自転車(バイク)の実力

 
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レース後半のペース維持やラストスパート時の考え方

序盤はリラックスしたコンパクトなフォームでリズミカルに走り、筋疲労でストライドが短くなる時にペースダウンを抑えるためにピッチを少し速めて、ラストスパートでは腕振りを力強くして腕振りのリズムで脚を連動させて動かして、さらにピッチを速める意識を持つことでスピード低下を抑えます。

また、ラストスパートしてからスピードを一気に上げるこ時は、それまでと動きを切り替えて爆発的なスパートをかけなくてはなりません。この場合は、ストライドを伸ばしてピッチも上げる、両方の向上が必要です。余力を残したレース展開でない限り難しい作戦です。
 
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ペースダウンを防ぐためにはピッチを上げることが有効

レースの後半やラストはペースが落ちやすいものです。原因のひとつは、筋疲労によるストライドの低下です。

この時にストライドを伸ばしてカバーしようとすると失敗します。筋疲労がひどい局面でストライドを伸ばすのは至難の業です。余計に力んでしまい、ストライドはほとんど伸びずに失速します。

そんな時ほどピッチを維持すること、または少し上げることを意識することで失速を最小限に抑えることができます。

 
 

前半のオーバーペースが原因の失速

入りがオーバーペースなら、中間あたりで急にペースが落ちます。その場合は上手く【中だるみ】をすることで、リズムを崩さずにやり過ごして、ラストスパートをかけてタイムを戻すことも可能です。

その時もピッチを意識することで上手くいくと思います。

ペースが落ちそうな時は、ストライドを無理に伸ばそうとせずにピッチを維持すると良いです。例えばストライドが3cm縮んでも、5000mならストライド160〜170cmとしてもトラック一周400mで250〜235歩、7.5〜7.0mの遅れで済みます。

ピッチを維持することがペースダウンを防ぐ最良の方法だと考えられます。

中だるみを上手くする方法
 
 

自分のレース時のピッチを把握して練習で活かす

練習では、レースペースを反復するインターバルなどをやっても、レースより短い距離を走るのでストライドが伸び気味になってしまいます。スピードも少し速くなり力強く走ってしまいます。ここに練習とレースの差が生じてしまいます。

この差を無くすことが大切だと考えますし、調子が悪い時も修正が比較的容易になります。不調の原因もみつけやすくなります。疲れでストライドが伸びていなかったり、力みが原因でタイムが落ちていることが多いです。どちらかはっきりわかることで対策を立てることもできます。

自分のレース時のピッチを把握して練習で活かす方法

また、イメージトレーニングでレース時のピッチとペースをイメージして確認することも大切な練習です。

イメージトレーニング
 
 

まとめ

まずは自分のレース時の動画を見て、100か200mごとのラップタイムと、それぞれの区間の歩数を数えることからやってみましょう。

また、youtube等で速い選手の動画を探して、同じように測ってみると良いです。その際は、レース展開に注意してください。前半スローのラストのかけひきレースなのか、記録会で前半から積極的に記録狙いをしているレースなのかで全く違ってきます。

まずは、記録狙いの積極的なレースを確認すると良いと思います。自分の記録をまずは伸ばすことを考えるべきです。その同じ展開のレースを比較して、強い選手と自分は同じ傾向にあるのか、違うのか。

だいたいの人が違っていると思います。後半の速度低下がひどいはずです。ラストのピッチも違うはずです。

違っていれば、その区間が自分が改善するべき区間だとわかりますし、練習にも活かすことができます。

youtubeでいくつもレースを観戦して、速いなぁ、だけで終わっていませんか?

主観的な感想や、見た感じの動作のリズムを学ぶこともとても大切です。

それと併せて、計測できることは何でも計測してみて、自分と比べてみましょう。

客観的な数値から得られるヒントは多いはずです。

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