練習のタイム設定の考え方(心拍数管理)

ペース設定の根拠となるものは、心拍数です。回数ではなく最大心拍数からの割合で表示しています。

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最大心拍数は、個人固有であり個人差があります。ですので、一概に心拍120回で設定!という訳にはいきません。

ここで、本来の最大心拍数の計測方法の一つを紹介します。

本来は、スポーツセンターや体育施設などでトレッドミルの上で一定時間走って計測します。
最初はジョギングからスタートして、徐々に速度が上がって行きます。漸増負荷運動と言います。
最終的には全力になり、トレッドミルのベルトコンベアーの地面が速すぎて転んでしまうまで実験は続きます。

実際は、転んでも腰にハーネス(ベルト)を装着して天井からぶら下がるので、怪我をすることはありません。
13分前後の最終的には全力走行をします。

計測実験では、口には酸素マスクのような口と鼻を覆うマスクを装着します。
走行中の呼気も採取して、呼気中の二酸化炭素濃度の変化も計測します。

さらに、微量の血液を採取して、血中の乳酸濃度を測定する方法もあります。

最大心拍数を計測すると同時に、有酸素運動と無酸素運動の境目のペースも測定します。
呼気から算出するものを、有酸素性作業閾値(いきち)、アネロビックスレショールド、ATと言います。
乳酸濃度から算出するものを、乳酸性作業閾値、ラクティックスレショールド、LTと言います。
このホームページでは、AT=LTと考えています。

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他にも、最大酸素摂取量(VO2MAX)の測定もされます。この値が高い程持久力があるということが言えます。
12~13分の最終的には全力でオールアウト(力を出し切った)運動をした中で、どれだけの酸素を摂取したかも計測されています。摂取した酸素量を体重で割ったものが、最大酸素摂取量となります。

例えば、同じ酸素摂取量3600の人が二人いて、体重は70kgと60kgです。この場合、60kgの人の方が最大酸素摂取量の数値は高くなります。3600×1/60=60と、3600×1/70=51.4になります。すなわち、体重60kgの人の方が速いことが数値から分かります。
ちなみに、このホームページの練習ペース設定ではVO2MAXは考慮していません。レースペースで言うと5000mより速いペースに相当します。参考までに、4000m全力のペース前後だと考えられます。実験で測定する時間に近いです。このスピード域は、レースペースを目標として分割してインターバルの設定をするので、VO2MAXを基準に考えないのです。

参考までに、簡易的に最大心拍数を計測する方法を紹介します。
10分間の全力走です。10分間の全力運動の最後もスパートし続けて力を出し切れば最大心拍数が測定できる可能性があります。3.5km3’00ペースで10’30″ですし、3000m3’20ペースなら10’00″、2500m4’00ペースで10’00″、2000m5’00ペースで10’00です。時間よりも距離を決めてタイムトライアルする方が全力を出し切れると思います。小さな駅伝でちょうど良い距離の区間があればぜひ意識してチャレンジしてみてください。

説明が長くなりましたが、これらは中長距離を志すなら知っておいて損はないですし、知ってくべき内容です。
これを知っていてペース設定を考えるのと、知らないで適当にフィーリングで設定するのでは、後々雲泥の差がつくと思います。これを知っていることで自信を持って練習に取り組めますし、無駄に距離だけに固執することもなくなると思います。

月間で何百kmの距離を走ることに固執するよりも、週2回AT付近でのペース走でAT値を上げること、週1、2回レースペースを反復してVO2MAXを高めること、日常的に最大心拍70%のjogで基礎持久力を効率よく強化すること、疲労が溜まった時は60%のjogで筋肉疲労を除去しつつ持久力を維持すること、定期的に適切な休養を組み入れてしっかりと疲労から回復して、次のトレーニングに向けて心身共に良い状態で臨むことがとても重要になります。バランス良く強度の高い(速い)練習と回復jogを配分して、超回復を促進することも重要です。

これらの条件を考慮して組み立てた具体的な練習メニューは練習メニュー検索をすれば出てきます。
練習メニュー検索

タイム設定の一覧表はこちらです。
ペース設定一覧表、レベルごとの心拍数とペース一覧表