ビルドアップ走のペース設定方法と練習効果


ビルドアップ走は、陸上部で中長距離専門なら一度はやったことがある練習でしょう。

しかし、どれくらいの人が自分に適したペースの設定方法やトレーニングの効果を理解しているでしょうか?

ペースの設定には、絶対にこれだ!という決まりはありません。速め、遅め、レベルに応じて距離も加減すれば良いと思います。

それでは、私なりの解釈と考えでアドバイスをします。
 
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トレーニング効果

様々な速度域で走り、最後は全力または全力近くまで上げることで、有酸素運動→無酸素運動になります。様々なエネルギー供給系を使うことになり、バランス良く中長距離走に必要な要素を鍛えることができます。

イメージとしては、一般的に取り組まれているペース走より少し遅めからスタート→ペース走→ペース走より速く、長距離レースのペース(ハーフ→10km→5km→3km→全力)、こんな感じです。

ちなみに、フルマラソンのペースはペース走より少し遅めになると考えられます。
 
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長距離選手向けのビルドアップ走

普段やるようなベース走の設定タイムからスタートして最後は全力まで上げるものです。距離は10000m前後が適当なところでしょう。

ペース走より少し遅めからスタートしても良いです。距離を走りたい場合などに適しています。

ペース走のペース設定は、無酸素性作業閾値(AT)前後で設定するのが一般的です。最大心拍数の85%前後が目安です。

ペース走の設定ペースの考え方を詳しく見る。

以上から、ビルドアップ走の設定の方法は、最大心拍数の80%→85%→90%→95%→全力というように考えると良いでしょう。
 
 

ペース設定の基本、心拍数管理

練習ペースは、基本的には心拍数で決めます。回数で決めるのではなく、最大心拍数からの割合%です。スポーツ施設等で測定するのが一般的ですが、11分間走などで自分で測定することもできます。知識として知っておこましょう。

心拍数管理の方法を詳しく見る。

 
 

ペース設定一覧表

持久力レベル(5000m)のタイムによって、jogやインターバルの設定ペースを決めます。心拍数を計測したことがない人でもその範囲に入るようになっています。私が10年近く、陸上選手や市民ランナーを教えてきて確認したものです。

タイム設定一覧表

 
 

具体的なメニュー

例えば、ビルドアップ走の設定を心拍80%→85%→90%→95%→全力にする場合で考えてみます。

【5000m16’00″(3’12″ペース)の選手】
3’50①→3’45①→3’40③→3’35①→3’30①→3’25①→3’20①→全力①

丸内の数字は距離です。合計10km、10000mで考えてあります。AT=無酸素性作業閾値あたりの3’40を長めにとりました。ラスト4kmがキツイところです。ペース設定の距離配分は自由です。
 
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【5000m20’00(4’00″ペース)の選手】
4’50①→4’45①→4’40①→4’35①→4’30①→4’25①→4’20①→全力①

合計8km、8000mで考えました。女子を想定しています。タイムが遅い分、男子より距離を少し短めにするべきです。走る総時間は同じくらいになるように設定します。

タイム設定一覧表を参考にして、心拍80%からスタートして、1kmごとに5秒アップが覚えやすいと思います。5000mのレースペース+10〜20秒まで上がったら、その後はフリーで全力です。

 
 

5000m14’台、ハーフも狙う選手の場合

トータル距離は16km、16000mまで延ばします。先ほどと同じく心拍80%→85%→90%→95%→全力で設定します。

【5000m14’50″(2’58ペース)の選手の場合、10000m30’40(3’04ペース)くらい】

3’35②→3’30②→3’25②→AT3’20⑥→3’15②→3’10①→全力①

ATペースの3’20を長めにとり一定ペースで淡々とリズミカルに走ります。ちなみにハーフのペースは3’14前後が予想されます。ハーフ68’00″(3’13″8ペース)です。

ハーフマラソンはATを超えるペースになります。

フルマラソンはATを超えることはないと言われています。世界トップクラスでATに限りなく近く、男子より女子の方がAT近くで走ることができるそうです。但し、これはかなりハードなトレーニングを積んだトップアスリートの話です。一般的にはそこまで上げて走ることはできません。知識として参考程度に。

 
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まとめ

ビルドアップ走は、様々な要素を鍛えることができる効果的な練習です。しかし、毎日やれば良いという訳ではなく、週間や月間の練習計画に上手く散りばめると良いでしょう。

目標とする種目、距離によってビルドアップ走の距離設定とペース設定をアレンジすると良いです。

また、短時間で効果的なトレーニングをしなければならない多忙なアスリートにも有効です。走り始めをウォーミングアップとして、一度休憩しつつ体操、再スタートからペース走→ペースアップしてラスト全力近くまで上げたり。アレンジは自分次第、使える時間の範囲内で。

工夫次第では、レベルが違う選手同士が一緒に走ることもできます。途中から入ったり、途中でやめたり、練習前に相談してお互いに利用し合いましょう。

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