LSD、ロングスローディスタンスの効果とデメリット

質は量を生む。
量は質を生まない。

スピードを出せる人が長い距離も効率的に走るフォームを備えています。持久力はまた別の話です。

長い距離をだらだら走っても速くなりません。長距離を遅く走れる強い身体ができあがるだけです。

おすすめできるのは、フルマラソンより長い超長距離の大会に出る人、トライアスロンのスタンダードディスタンス51.5km以上の距離(2時間以上かかる距離)に出る人、それからランニング初心者です。また、長期休養後に練習再開する選手にも有効です。

フルマラソン以上の距離を目指す人向けの補給を伴うLSDを詳しく見る。
 
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LSDオススメしない理由。

LSDは有名な練習方法の一つです。しかし、レベルが上がるほど必要性は無くなってくると私は考えています。速くなるためには、自分のレベルに合った必要最小限の心拍数の割合が重要なことは今では常識です。運動生理学を無視したトレーニングでレベルアップは難しいです。

運動習慣がある人は心拍60〜65%のペースが回復日で走るペースになります。これが最も遅いトレーニングのペースだと考えるべきです。そして、それはそんなに遅いペースではありません。

例えば、5000mのタイム別の回復jogのペースは、
15’00″の選手で4’41〜4’21
17’00″の選手で5’18〜4’56
19’00″の選手で5’55〜5’31
21’00″の選手で6’33〜6’06
これくらいになります。

ペース一覧表で他のタイムも見る。

私は、心拍60%未満の割合で走るペースをLSDとして考えています。心肺機能の直接的な向上を期待せずに、脚関節組織の強化及び毛細血管の発達促進、気分転換を目的にしたものです。
 
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LSDと練習の最後に行うクーリングダウンのjogは目的が違う。

練習の一番最後に行うダウンjogは遅くても構いません。心肺機能の能力を高める目的ではありません。ダウンは、血中の乳酸濃度をなるべく早く下げて疲労回復に努める目的です。また、交感神経優位で興奮している心身を鎮めるものです。ダウンの最後にストレッチを強めに行うことで副交感神経が優位になり、成長ホルモンの分泌を促してより効果的な回復につなげます。

時々、勘違いしてダウンjogで30分〜1時間を走る長距離選手を見かけますが、目的を理解していません。ダウンjogは必要以上に長時間する必要は全くありません。5分〜10分で充分です。全力運動直後のダウンでも20分あれば運動前の水準に血中乳酸濃度は下がります。

クーリングダウンに必要な時間

疲労の要素に関する記事を詳しく見る。
 
 

動きは習慣化する→遅い動きに慣れると速く走りにくくなる。

ダウンjogやLSDのような、遅い動きに慣れてしまうと走るのが遅くなります。速い動作がしにくくなります。

ダウンで距離をプラスしたいくらいに距離を走る必要があるなら、それは朝練習で走るべきです。私ならそうします。朝のエネルギーが減っている状態で、水分だけ補給して、jogすることでミトコンドリアが増加しやすくなり、エネルギー効率上がりやすくなります。朝は身体は動きにくい時間帯ですが、空腹時のメリットがあります。高強度の練習は厳しいですが、基本的なjogと流しなら問題ありません。
 
 

LSDをおすすめする人

運動を始めたばかりの人や長期の故障明けで練習を再開する人にとっては、LSDは大切なトレーニングの一つになります。

初心者やランニング導入者は、膝、股関節、足首などランニングの接地衝撃に耐えるための脚の各関節組織の耐性が不足しています。ゆっくり走ることで軽めの刺激を関節組織に与えることになります。その結果、関節組織が鍛えられてケガの予防になります。これは筋トレでは鍛えられませんので、計画的にLSDを行うことで怪我を予防できます。
 
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まとめ

トラックレースを専門にしている選手でも、週に一度のLSDは筋力を休めて気分転換にもなるので有効な練習です。

しかし、楽な練習だからと言ってそればかりやっていては競技レベルはアップしません。行う回数はできるだけ減らすべきです。運動が習慣化している選手にとっては無くても良いくらいです。

一方、趣味でスローなランニングを楽しむ方も近年は増えています。

陸上競技と趣味のスローランニングは違います。

身体能力の向上、タイムを短縮することを目指しているのであれば、LSDの頻度は少なくするべきです。

時と場合によって、しっかりと使い分けて、純粋に走ることを楽しむLSDをトレーニングの一部として計画的に組み込むことで、心身のリフレッシュをして、トレーニング全体のバランスを取ることも可能です。

計画的に、時には柔軟に、陸上競技を、そして走ることを楽しみましょう!

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走っている最中に脇腹が痛くなる原因


いくつか原因が考えられます。

食事の直後の場合

食事直後は消化吸収のために副交感神経(生命維持、安静)が優位に働きます。だから眠くなります。血液は内臓に多く回されます。

運動時は交感神経(活動、興奮)が優位に働きます。血液は骨格筋に多くまわされます。

食事の後、消化吸収される前に走ると消化吸収系の内蔵に循環している血液が骨格筋に回されます。まだ血液がたくさん必要な時に内蔵の血流が減ると腹痛が起きると考えられます。

以上の理由で食事直後の運動は控えるべきです。

 
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アップ不足、走り始めの場合

肋骨の一番下、横隔膜は肋骨に付着しています。お腹を引っ込めると肋骨の下に指を入れて入りそうなくぼみです。そこが痛い場合は、横隔膜周辺の呼吸筋群に痛みが出ていると考えられます。

原因はアップ不足による、血流切り替えが不十分なことが考えられます。

安静時のゆるやかな呼吸からランニングの速い呼吸の切り替えるタイミングが早すぎたことが考えられます。

安静時の副交感神経優位の時は、身体は安静状態で省エネになっており血管は拡張しています。ランニングなど活発に身体を動かす場合は、交感神経が優位になって血管は収縮します。多くの血液を早く全身に巡らせるためです。この自律神経の切り替えもスムーズにできていないことが考えられます。

ウォーミングアップの詳しい説明

 
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初心者でもなく、アップ不足でも無い場合、練習後半やレース中盤などに起こる場合

これがなかなか判断が難しいパターンです。部位は、横隔膜でもなく胃や腸ではありません。

腹の内部に起こる痛みでピンポイントにどことは言いにくい部位です。おそらく胃の周辺です。

走る振動で肝臓が腹腔内で揺らされてしまうことが原因と考えられます。

肝臓は重い臓器です。肝臓が大きく揺れることで横隔膜が引っ張られて脾臓が収縮してしまうそうです。

これがきっかけで、脾臓内に貯蔵されている血液を全身に送り出す働きが起こります。

胃も強く振られます。さらに激しく走っていることで体幹に力が加わりますので腹圧が高まった状態が維持されます。胃への血流が阻害されます。送られるはずの血液の循環が悪くなるため腹痛(胃の周辺)が起こると考えられます。

解決策は、走るスピードを落として腹圧を下げることだと考えられます。もしくは走るのを一旦やめることです。

フルマラソンやトライアスロンなどの長丁場であれば、一度止まって痛みが和らいでから再スタートしても、その後復調することができればタイムロスは少なくて済むかもしれません。

しかし、駅伝やロードレースでこの症状になってしまうと大ブレーキになってしまいます。

確実な予防法は、私は現在のところわかりません。

 
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ここからは私の予想と推測
〜発汗による身体の水分バランスの崩れが原因になることがあるのでは?〜

走ることに充分慣れているベテランでもなる可能性はあると思います。私はランニング歴25年以上ですがなったことはありません。個人差もあると思います。

私の教え子の5000m14’45″の選手は、何年かに一度の割合ですが駅伝やハーフのロードレースでなっています。彼の経験的では10km以上の距離で起こります。

発汗による身体の水分バランスの変化も影響していることが考えられます。駅伝では給水はありませんし、ハーフのロードレースでもタイムロスになるので給水は取らないそうです。

主に冬場や春先の低い気温時のレースですが、発汗は必ずあります。

人間の身体は約70%が水分です。そのうち3%損失するだけでパフォーマンスは低下すると言われています。体重60kgなら約43リットルが水分で約126mlが3%です。小さいコーヒー缶の半分です。呼吸でも水分は僅かですが減っています。

高強度運動時に、水分が損失して強度を落とさずに運動を続けることでどこかにボロがでてしまうのだと考えられます。ミネラルバランスの崩れが先に影響すれば筋肉の痙攣や脱力、エネルギー代謝不良が起こり、パフォーマンスが低下します。これらが重なって腹痛となっているのでは無いかと推測します。

このような理由で、私はこれも原因のひとつではないかと考えています。解決策は適度な給水を取ることとミネラル分も補給することです。

以上はあくまでも予想で私の考えです。

アスリートに必要なミネラル

水分とミネラルの損失分を補わないとパフォーマンスが低下する説明”

 
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参考になる外部サイト

ランニング中の腹痛の原因
(財)協栄生命健康事業団

http://www.e-clinician.net/vol47/no493/pdf/sp_493_18.pdf

 
 

まとめ

ランニングはシンプルな運動、動作ですが私はたちの身体は複雑です。

運動生理学、医学の基礎的知識は陸上競技や持久系のスポーツを探求する上で必要不可欠になってきます。

日々勉強です。

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中長距離ランナーの科学的トレーニング


元800m世界記録セバスチャンコーのコーチである父親が書いた本です。日本語に訳されています。かなり深い内容が広く説明されています。

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梅雨時期に不調になりやすい原因②副交感神経が優位になりやすい気候


梅雨の不調原因で低気圧による酸素濃度低下は先の記事で紹介しました。

梅雨時期に不調になりやすい原因①低気圧で酸素濃度が低下

今回は、さらにその影響を受けて起こる身体の反応と対処方法を紹介します。

 
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なぜ副交感神経が優位になりやすいのか?

交感神経と副交感神経の働きは、ストレッチの記事で紹介していますので知らない方は確認してください。

低気圧は空気中の酸素濃度を低下させます。10hPaあたり約1%酸素濃度が低下します。

酸素濃度が低下すると、身体は防御反応で身体を少しでも休めて酸素消費を少なくする方向に働き、副交感神経が優位になります。

 
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副交感神経が優位になりやすい低気圧時の対処方法

ウォーミングアップを入念なにすることです。運動時は、交感神経が優位になってくれないと身体は動きにくいです。

晴天時=高気圧時は交感神経が優位になりやすく身体は動きやすいですが、低気圧時は晴天時よりもアップをしっかりする必要があります。

晴れの日と雨の日で同じアップでは不十分だということです。

 
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雨天時のウォーミングアップの注意点

雨天時は湿度が高くなります。汗をかきやすい気象です。すぐに汗ばむので、身体が温まったと勘違いしやすいです。

特に、ウインドブレーカーを着ると発汗量が増えます。それと同時にミネラル分も汗で損失してしまいます。

ミネラルについての説明はこちら
ナトリウム(塩分)、カリウム、マグネシウムなとは特に重要なミネラルで、不足すると筋肉の収縮と弛緩を阻害して痙攣を起こしやすくなります。また、エネルギー供給系も働きにくくなってしまいます。エネルギーが体内にあるのにエネルギーとして使われなくなってしまいます。身体が動きにくくなる=遅くなる、という事です。

汗を多くかきそうな日は、意識してミネラル分を含むスポーツドリンクやサプリメントを摂る必要があります。陸上競技の大会では、1日に何本もレースを走る場合があります。予選は動いたけど、2本目は身体が動かない場合はミネラル分のバランスが崩れてパフォーマンスが低下したことも原因のひとつとして考えられます。

これらの理由で、汗を無駄にかかない工夫や発汗量に応じたミネラル分の補給、ミネラルバランスの維持を考慮しなくてはなりません。

 
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まとめ

陸上競技は自分の身体だけで勝負する非常にシビアなスポーツです。

気象の変化と身体に及ぼす影響、身体の生理的反応をきちんと知ることで、具体的にやるべき行動が見えてきます。

知識は自分を救います。

また、雨の日は服装に気をくばることでかなり快適になります。知識と物の準備をすることでレースや練習でのパフォーマンスは変わります。

雨天時の服装について

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梅雨時期に不調になりやすい原因①低気圧による酸素濃度低下

梅雨と気圧

梅雨は梅雨前線により低気圧が上空に停滞します。日本の平均気圧は1013hPaですが、低気圧時は1000hPaを下回る気圧になることもあります。台風時は950hPaを記録したこともあります。

 
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気圧が身体に与える影響

気圧が10hPa低下すると空気中の酸素濃度が約1%低下します。低気圧では約20hPa低下→約2%酸素濃度が低下することがあります。

酸素濃度が約2%低下すると、その分持久力が落ちると考えられます。極端な例ですが、低気圧では約60hPa気圧が低下→約6%酸素濃度が低下すると考えられます。

 
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気圧低下による酸素濃度低下でタイムが遅くなるのか?

種目によって受ける影響は異なると考えられます。これは、距離(全力での運動時間)によってエネルギー供給系が異なるためです。エネルギー供給系の説明

有酸素運動:無酸素運動の比率は、おおまかに以下のとおりです。
800m40:60
1500m60:40
5000m95:5

それぞれの有酸素運動の比率分が酸素濃度低下の2%だけタイムが遅くなるのではないかと、私は予想します。

ですので、800mよりも5000mの方が影響を受けやすいと思います。距離が長いことだけではなく、有酸素運動の比率も多いからです。

天気が悪いと記録が落ちがちですが、あまり影響を受けない選手もいると思います。

雨だからダメだ!と決めつけないで、以前より力がついていればベストと同じくらいで走れるはずだ、などと前向きに考えることができれば良いと思います。

 
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低気圧時は無謀なハイペースでレース展開をしない方が良い

天候が悪い時は、入りのハイペースを控えて、無難なペース配分をすることが最終的には好結果に結びつくと考えられます。

ラストスパート=無酸素運動をしっかりかけることができれば、タイム損失は最小限に抑えることができるのではないでしょうか。

記録会や着順争いをする大会ではレース展開やレースの目標も異なります。

自分の実力、目標、そのレースの位置付けをよく考えて、レースの作戦を立てれば良いと思います。

 
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まとめ

日々の練習時から天気予報を確認して、低気圧と練習タイムに変化を感じるのであれば、走った感覚を練習日誌に書くなどして残してておくと良いでしょう。なんか今日は調子がいまいちだな。で終わらせないことです。

低気圧が身体に及ぼす影響は他にもあります。

低気圧は身体の内圧を高めるので疲労が抜けにくい。

低気圧による酸素濃度低下は身体の自律神経の働きにも影響する。

走るだけではなく、知識を深めることもパフォーマンスを高めるためには必要だと思います。

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超回復のサイクル

超回復のサイクルの基本

超回復のサイクルは通常48時間〜72時間で起こります。2日か3日ということです。

超回復とは、トレーニング前の元の状態よりもレベルアップして回復することです。
 
 

超回復のサイクルを1週間や1ヶ月の練習メニューに組み込んで考える

トレーニングでは超回復を狙って、ポイント練習や回復練習を組み合わせます。毎日ポイント練習を行うことはこれに反しています。

高強度のトレーニングなら3日周期で、高強度トレーニングでも量を抑えれば2日サイクルで行います。また、やや強度を落とした高中程度のトレーニングも2日周期で良いです。
 
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回復したかどうかの判断基準

主観的な判断では、筋肉痛が無くなったかどうかです。

客観的な判断としては、毎朝起床直後に心拍数を計測して記録し続けている人なら心拍数の変化で判断することができます。疲労状態では心拍数は高く、疲労が無い時は下がります。

心肺機能のトレーニング適応によっても起床時心拍数は低下します。
 
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心肺機能の回復

感覚的に、筋肉の修復よりも速く回復します。骨格筋の修復がされていれば呼吸筋は問題ありません。持久力の維持をするために、強度が高いトレーニングをする日以外も、適度な有酸素運動をする必要があります。それが、心拍70%の基本jogであったり心拍60〜65%の回復jogです。

心拍数をトレーニングに活用するための知識

 
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まとめ

超回復のサイクルを意識したトレーニング計画を立てることで、オーバートレーニングを未然に防ぎます。

トレーニング計画の立て方

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最大心拍数を知って練習に活かすために

心臓は人間のがんばり度合いを表すメーター

人間の心臓は、自分の意思とは関係なく動く【不随意筋】です。一方、骨格筋は【随意筋】です。意識して思い通りに動かすことができます。

心拍数は、寝ている時の安静状態で最も低くなります。激しい運動をしている時に高い心拍数になります。

3kmあたりの距離を全力で走り切ると、最大心拍数になると思います。5kmでは長くて最大心拍数まで上がりません。1500mでは短か過ぎて、最大心拍数に達する前に走り終えます。

中距離種目の方がキツくて苦しいですが、無酸素運動の要素が4〜6割を占めていますので、溜まる乳酸に耐えながらスピードを維持する苦しさからだと思います。

 
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最大心拍数について

若ければ最大心拍数は高く、年齢を重ねるごとに最大心拍数は下がっていくことが考えられます。

昔の公式で、220-年齢=最大心拍数の予想がありますが、個人差があることも承知してください。

ちなみに私は、30歳時で最大心拍数197回を計測
220-30=190、誤差+7回、割合だと3%誤差が生じます。41歳現在でも最大心拍数はほとんど下がっていません。196回です。
220-41=179、誤差+17回、9%

適切にトレーニングを継続していれば最大心拍数の低下はかなりゆるやかになると考えられます。ですので、公式は参考程度にしてください。

小柄な人は心臓が小さく心拍数は高めの傾向があり、逆に大柄な人は心臓が大きく心拍数は低めの人が多いです。個人差あります。

極端ですが、ネズミなどの小動物の心臓はとても速く鼓動しています。

持久系のスポーツに取り組んで、競技力を伸ばすため、または安全にトレーニングを行うために自分の最大心拍数を知ることは大切だと考えます。
 
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最大心拍数をトレーニングに活用する

最大心拍数が分かれば、その割合からトレーニング強度を決めることが容易になります。

心拍計を使った効率的、客観的数値を確認しながらのトレーニングが可能になります。心拍計は自分のコーチになります。

心拍計を練習に活用する

以下に、最大心拍数からの割合で区分した、トレーニング強度を紹介します。
 
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心拍数割合と運動強度

60%未満、LSD
60〜65%、①回復jog
65〜70%、②基本jog
70〜75%、③速めのjog
75〜80%、④遅め長めのペース走
80〜85%、⑤ATペース走
85〜90%、⑥速めペース走
90〜95%、⑦レース序盤
95〜100%、レース終盤、全力

①〜⑦で番号をつけてある範囲が、私のホームページで紹介している練習メニューで走る範囲になります。

タイム設定一覧表

 
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まとめ

主観的な感覚や勘で練習ペースを決定する場合と、客観的な数値を参考にして自分に合った練習ペースを決定する場合では確実性が違います。

しかし、主観的な感覚、フィーリングも大切です。数秒違うだけで気持ちよく走れるペースがあったりします。

リズミカルに走れること、気持ちよく走れることもとても大切です。

主観的な感覚と客観的な数値の両方良いところを取り入れて、

【自分にとってベストな練習ペースを自分で決めることに意味があります。】

これで、トレーニングの五原則のうち自覚性の原則と個別性の原則をクリアすることができます。

polor心拍計

睡眠と成長ホルモンによる回復効果

成長ホルモンとは?

成長ホルモンの成分はアミノ酸で構成されています。

成長ホルモンは、副交感神経が優位になる睡眠中に多く分泌されています。睡眠はレム睡眠とノンレム睡眠に分かれています。浅い眠りがレム睡眠、深い眠りがノンレム睡眠です。ノンレム睡眠の時に最も成長ホルモンが分泌されます。

眠りが浅い時は、閉じた瞼の上からでも眼球が動いているのがわかります。これを急速眼球運動と言います。
 
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レム睡眠とノンレム睡眠

この急速眼球運動 rapid eye movementの頭文字を取ってREM、レム睡眠と呼ばれています。眼球がよく動く時間帯、レム睡眠の時に夢を見ていると言われています。

レム睡眠中は浅い眠りですが、全身の筋肉は弛緩し身体はしっかり休息している状態です。

ノンレム睡眠では、脳を休ませています。
 
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睡眠の仕組みを知って陸上競技のレース間に応用する

陸上競技の大会で、1日に2本や3本走る時の間の過ごし方で、短時間の昼寝が良いとされているのは、このレム睡眠の効果です。脳は起きているけど身体は休まっているからです。15分くらいが適当です。

それ以上寝ると、ノンレム睡眠に入り、脳も休息してしまいます。そして副交感神経が最も優位になるので、身体は鎮静化します。運動のための準備とは逆の効果になってしまいます。

レム睡眠とノンレム睡眠のサイクルは、一般的には90分と言われています。90分の倍数の時間に起きると寝覚めが良いのは、眠りが浅くなったレム睡眠の時に起きるタイミングが合うからです。但し、最初の周期は2時間で、1時間後に眠りの深さがピークに達するノンレム睡眠で、30分後に最も浅いレム睡眠になります。

2時間+1.5時間の周期で目覚めが良いレム睡眠で起きることができます。

だから、2、3.5、5、6.5、8時間の睡眠が起きやすい時間です。

普段の睡眠の時に、この時間を意識すると良いでしょう。

 
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どれくらいのレース間隔があれば2時間寝れるか?

レース間に2時間寝れるのであれば、しっかり寝ることで疲れはかなり回復すると考えられます。レム睡眠とノンレム睡眠の1サイクルの睡眠です。

寝る時は、次のレースのことは考えないでください。レースを想像することで緊張感が増しますし、交感神経が活発になってしまいます。寝る時は、顔にタオルを掛けて暗くしたり好きな音楽を聴くなどしてリラックスしてください。

しかし、普通はおすすめしません。熟睡した後は、身体が起きるのに時間がかかると言われているからです。【何本も走ったレースの疲れがひどくてどうしようも無い場合には有効だと思います。】

それでは、レースを終えて、次のレースのアップ時間を考えてみます。私の考えではレース間隔が4時間40分以上あれば、2時間睡眠の回復は可能だと思います。

睡眠のサイクルを利用した、疲労回復優先で考えています。

ただし、起きて30分後にアップに行く計画なので、起きてすぐに動ける人と苦手な人がいると思います。休日に午前と午後に練習して、大会のシミュレーションをしてみてください。

熟睡したら身体が動かなくなるという選手もいます。そんなの関係ない!という選手もいます。自分で試してみてください。

私の陸上仲間で、レース間にとにかく寝る選手がいました。強かったです。1500m3’54″で走る選手です。


12:00レース終了
12:05プロテイン摂取
12:10〜12:30クーリングダウンjog15〜20′
12:30〜12:45ストレッチ
12:45〜食事

13:10〜15:10睡眠120分

15:10〜15:40太陽を浴びて、散歩や軽いストレッチで身体を起こす。集中してレースのイメージトレーニングをすることで交感神経を働かせる。
15:40〜ウォーミングアップ、jog10’、流し3〜5本
16:00招集開始、着替え、軽いストレッチ
アミノ酸摂取
16:20最終コール
16:40レーススタート

2時間寝て、起きてすぐに動きにくい人は、15分睡眠を何回かに分けて取るのも一つの方法だと思います。
 
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高いパフォーマンスを出すために、睡眠による身体鎮静化からどれくらいの時間必要か?

明確な根拠となるサイトや文献は見つけられませんでしたが、身体の機能が起きるのには3〜5時間という意見が多いようです。

ですので、レース間にたくさん寝すぎるのは、良いことではないと思います。しかし、先にも書きましたが疲労回復優先で寝ることは有効だという考えです。

前日の睡眠から、翌日のレーススタートを逆算して、5時間前に起床して、食事を3時間前に済ませるのが無難だと思います。
 
 

まとめ

毎日している睡眠ですが、意外と知らないことが多いものです。

レースの合間に15分の短時間睡眠を入れることで、疲労回復効果が高まります。

ポイントは、交感神経と副交感神経の切り替えです。これは、ウォーミングアップクーリングダウンストレッチにも共通していることです。

身体の仕組みを知ることで、練習の走りやレースの走りが変わります。練習やレースを支えているのは、日常生活での行動です。

今まで、顧問や先輩に言われてやってきたこと、意識せずにやってきたことにも意味があることが多いです。

意味が無いこと、効果が無いことはやめれば良いです。

意味があることは、その仕組みを理解することで納得できると思います。

陸上競技やランニングは、走るフォームや練習ペース、練習メニューだけが勉強すべきことではありません。

多角的に知識を深めると、ある時にいくつかの知識が結びつくことがあります。テレビ、雑誌、ネット、あらゆるところに情報はあります。自分の向上心、研究心、疑問がそれらの情報を結びつける大事な鍵になると思います。

問題意識を持って、生活、アスリート活動をしましょう!

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クーリングダウンで血中乳酸濃度を早く下げたい理由


クーリングダウンが必要な事は他の記事で紹介していますし、アスリートならみんな知っていることです。

ウォーミングアップの記事も参考にしてください。

今回は、クーリングダウンについてもう少し詳しく紹介します。
 
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人間の体は弱酸性

ボディーソープのコマーシャルでよく耳にする言葉です。素肌に優しい弱酸性です。

短時間に大きなエネルギーを発生させると同時に乳酸も産生されます。この乳酸は酸性です。昔は乳酸=疲労物質というふうに言われていました。最近では乳酸はエネルギー源であるとも言われています。しかしながら私たちが速く走るときに乳酸をエネルギーとして使ってるかというとそうではありません。私たちの体では乳酸を分解して再びエネルギーとして使うことができるようになっています。そういった広い意味で乳酸=エネルギー源であると考えることもできます。

しかし、高強度のトレーニング直後またはレース直後に体の乳酸濃度は高くなっています。乳酸は筋肉の収縮を阻害して運動を妨げます。これは好ましいことではありません。少しでも早く高い乳酸濃度を下げて元の値に戻すことが、運動を再開するためには必要ですし、すばやい疲労回復にも必要となります。全力で走った後の体は酸性度が高まっていると言えます。
 
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体の酸性度が高い=ストレス

人間の体もある意味錆びてしまいます。酸性度を高い状態を保つこは人体にとって好ましくありません。ストレスと言えます。

人は、交感神経と副交感神経を切り替えている話を、ストレッチの方法で紹介しました。

人は、ストレスがかかっているときは交感神経が優位になります。ストレスに耐えているからです。逆に、ストレスがなくリラックスしている状態では副交感神経が優位に働きます。
 
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効率的な回復のためには成長ホルモンが必要

本題に入ります。血中乳酸濃度を早く下げると言う事は、体からストレスを早く取り除くと言うことです。血中乳酸濃度を早く下げることで、早く体がリラックスした状態になり、さらにクーリングダウンの軽い運動によって副交感神経が優位に働きます。この時に成長ホルモンの分泌が多くなります。
 
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成長ホルモンとは?

成長ホルモンは、アミノ酸で構成される物質です。

主な働きは、組織の成長促進と代謝コントロールです。子供の骨や筋肉の成長には欠かせません。また、大人でも脳の疲労回復、脂肪燃焼、病気の抵抗力、体組織の修復や再生等に関わっています。

成長ホルモンは、副交感神経が優位の時に多く分泌されますが、最も多いのは睡眠時間中です。
 
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まとめ

クーリングダウンは、その日の最後にだけ行うものではありません。例えば、陸上競技の大会では、1日に2本、3本走ることがあります。大会が2日や3日続きの場合は、1日何本か走るのを3日続けます。記録会でも、1日2本や3本走る場合があります。

大きな大会では、予選や準決勝レースの後に、決勝が控えていますので、余計な疲労状態から早く回復することが、次への準備につながります。

レース後に、何もしないで控え場所に戻って休むのと、きちんとダウンをしてから戻るのとでは、筋肉の余分な張りが違います。

クーリングダウンの適切な時間は?

レース直後30分以内、回復のゴールデンタイムにプロテインを摂取、クーリングダウンで血中乳酸濃度を早く下げ、交感神経と副交感神経の切り替えを行い、ストレッチとマッサージで副交感神経をさらに優位にして、軽い食事でエネルギーとミネラル類を補給、短時間の昼寝で成長ホルモン分泌促進して疲労回復、この流れを考えて行う必要があります。

次のレースまで時間があまり無い場合は、ダウンをきちんとして、アップは必要最小限で行えば良いです。その時も、落ち着かず歩き回るのでは無く、可能なら15分程度の短時間の昼寝を入れるようにしましょう。交感神経と副交感神経の切り替え、そして再び交感神経へ切り替える行動がダウンとアップです。

身体のしくみを知って、レース間の過ごし方で失敗しないようにしましょう。

疲労因子ファティーグファクター、乳酸、その他の疲労を測る物質について

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【フルマラソン以上やトライアスロンを目指す人向け】30km以上のLSDとエネルギー補給のトレーニング


LSDの効果とデメリットは、関連記事で紹介していますが、逆におすすめするケースがあります。中高生には絶対におすすめしませんが、超長距離をメインで活動する大人アスリートには時として必要な練習になります。
 
 

食事と自律神経の働き

通常は、運動中は交感神経が活発になり、消化吸収系の内蔵は機能しにくい状態です。だから、レース3時間前には食事を済ませるべきです。

日常で、ご飯を食べて胃の内容物を消化する時は、副交感神経が優位になります。副交感神経は休息時や睡眠時に優位になり、生命維持のために必要な機能の働きに関わります。

だから、昼ごはんを食べた後の授業中や、昼食後の運転中は眠くなりやすいのはその為です。

しかしながら、フルマラソンより長い距離の大会では、エネルギーが足りなくなるので、人間の自律神経の機能に逆らって、栄養を消化吸収しながら走るという厳しい行動を強いられます。慣れない人は腹痛を起こすでしょう。

腹痛を起こしにくいように、専用のエネルギージェル等はほとんど消化された状態になっており、ほとんど消化の手間をかけずに短時間に小腸から吸収されるようになっています。行動中でも摂取しやすいように粘度の高いドロドロな液状の商品が多いです。

他の自律神経の働きは、ストレッチやマッサージでも関係しています。
ストレッチと自律神経の働き
 
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身体の仕組みを理解した上での補給トレーニングLSD

このように、フルマラソンよりも長い超長距離の競技は、身体の仕組みもしっかり頭に入っていないと走り切れない過酷な競技です。それを理解した上で、補給を伴い消化吸収のテストを兼ねたLSDであれば有効だと考えます。

しかし、中学生や高校生、大学生、社会人で陸上競技のトラックレースに出場する選手は、LSDはあまりやらない方が賢明です。私はおすすめしません。

ハーフマラソンまでは体内のエネルギーで走り切れます。フルマラソンの30〜35kmで体内のエネルギーが切れる計算です。

あくまでも私の考えであり、補給するための基準を設けるための試算ですので、専門家が見ると違う数字が出てくるかもしれません。シビアに知りたいのであれば、専門の施設や企業に依頼して測定すれば、その数値は得られると思います。
 
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トライアスロンに向けたLSD

トライアスロンの場合は、ランでLSDをしなければならない訳ではありません。バイクを活用しましょう!アイアンマンに出る場合はラン単独でも補給LSDをすべきです。

ハーフアイアンマンまでなら、バイク60km+ラン10km等、合計時間が2時間半を超えるように距離を設定すれば、同じ効果が得られます。

私は、夏場にバイク100km(心拍70〜75%)+ラン5km(4’10〜20″)など、レースペースに近い強度で行っています。これは、LSDの心拍を超えた次の段階の練習ですが。

実験で、調子抜きの水分補給だけで、バイク何キロでエネルギー切れを感じるか試しました。バイク90kmくらいでした。全身に力が入らなくなるので分かります。ポラール等の心拍計ならそこまでの消費カロリー概算も確認できるので、おおまかなイメージは掴めます。

そこでコンビニに入って、食事休憩を挟み、練習を再開したことがあります。その場合は、コーラで単糖類とカフェイン、あんパンで単糖類と多糖類を摂りました。その時は腹痛にはなりませんでしたが、固形物は消化しにくくて、腹に残る感じはありました。これも実験です。
 
 

補給トレーニングLSDの次の段階、30km以上のjogでの補給トレーニング

ゆっくりなペースであるLSDで補給しながら走れたら、次は実戦のペースに近づくjogにペースアップします。もし、消化不良で腹痛や体調不良があった場合は、補給の量やタイミング、または種類を変えて再度やってみると良いでしょう。

一度に摂取する量が多いと上手く行かない場合があります。水分も併せて摂ることで吸収しやすいと思います。

最終的には、目指すレースペースで補給しながら走る練習が必要だと考えます。
 
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まとめ

30km未満の距離ならエネルギーは無補給で走れると思います。しかし、発汗によるミネラルバランスの崩れが原因で力が入らなくなったり、体調を崩すことがあります。

知識が足らない状態で無謀な挑戦はせずに、しっかりと必要な知識を学んでそれを試しながら距離を延ばしましょう。

私は、現在はトライアスロンを主にアスリート活動を楽しんでおり、総距離100km超え、総時間5時間半くらいの大会をメインに考えて取り組んでいます。

計画的な補給は必須であり、その為の準備もかなり必要になってきます。

初めてのこの距離では失敗しました。水分を摂り過ぎて腹痛になりました。エネルギー切れにはなりませんでしたが、相当のタイムロスをしました。

補給を伴う競技では知識は当然のことながら、経験が最も大切だと感じました。補給適正には個人差があり、自分に合った補給食を探すことも大事です。

最近では、それも含めてトライアスロンだと考えています。

陸上競技であれば、予選と決勝の間をどうやって過ごすか、何をどのタイミングで補給するか、昼寝はいつ何分するか、それが決勝でのパフォーマンスに大きく影響します。

最初は、先生や先輩たちに聞いたことをやると思いますが、自分でも根拠となる医科学的知識を調べて、自分なりのアレンジを加えることが大切だと思います。

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クーリングダウンの適切な時間は?

ダウンの目的は?

クーリングダウンは、運動時の交感神経優位の状態から、副交感神経優位の状態へスムーズに切り替えるためのステップです。激しい運動は、心身ともに興奮状態にあるので、それを沈静化させます

ダウンの目的は、筋肉中と血中の乳酸濃度を下げること、心拍数を平時に戻すときにゆるやかに戻していくことだと考えます。

低い運動強度で、乳酸の産生を最小限に抑えて血中乳酸濃度を下げたいので、酸素を身体全体に供給させることで乳酸の利用を促進して、乳酸濃度を下げることです。

また、乳酸濃度を低く抑えるためには、ペースはゆっくりになりますし、心拍数70%を下回るジョギングでは有酸素運動のトレーニングとしては非効率的になります。

だから長時間ダウンjogをしても、非効率的な持久力強化になりますので、長くする意味は無いと考えています。

では、一体どれだくらいの時間が最低限必要になるのでしょうか?
 
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クーリングダウンの時間と血中乳酸濃度の測定実験結果

早稲田大学の学生さんの研究結果を引用させていただきます。
ダウン時間と血中乳酸濃度の推移グラフ

グラフは、スピードスケート全力運動後の血中乳酸濃度と、ダウンにかけた時間推移です。ダウンの方法はジョギングとエアロバイクの2種類です。

グラフを読み取ると、20分後にはどちらの運動も、運動前の血中乳酸濃度に近いレベルまで下がりました。私は、ここでダウン終了しても良いと考えます。

全力運動の場合で20分なので、運動強度が全力より低い時は、血中乳酸濃度も低くなるのでダウンに必要な時間は短くて済むと考えます。

激しい運動ほど、血中乳酸濃度は高まりますし、その強度が低い場合は血中乳酸濃度は低くなります。グラフなら、全力後のダウンをしている何分後かの状態の値になるということです。
 
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全力運動以外のダウン時間は?

運動強度が下がれば、必要な時間は15分、10分、5分、ダウン不要という具合に短くなっていきます。

専門の大学での研究では実験として可能でしょうが、毎回血中乳酸濃度を測定する訳にいきません。一般の現場的には、自分の【感覚】で時間を調整することになります。

具体的には、こんな感じになると思います。
インターバルやレペティション→15分〜10分
ペース走+インターバル、レペ(少なめ)→10〜5分
ペース走+流し→5分
jog→ダウン不要

私が作るメニューでは、ペース走の直後はそのまま1000mのjogをしてからその後休憩に入らせています。血中乳酸濃度を緩やかに下げさせるためです。10分〜15分後に、インターバルやレペを加えたセットの練習が主です。

インターバルかレペの最後の一本後は、インターバルの場合はつなぎと同じjogをさせます。レペの場合は、止まったり座ったりさせずに、スパイクを履いたままゴール後の流れでそのまま歩かせています。200m〜400mです。

練習の合間にもダウンと同じ目的で軽い運動を挟んでいます。これらはメニュー表には明記してありませんが、理由も付けて口頭で指示をしています。自分の練習時もそうしています。

このように、普段の練習では合間にもダウンを挟んでいますので、一番最後のダウン時間は5〜10分で充分だと考えています。
 
 

まとめ

運動強度によって、必要なダウン時間は異なります。ダウンで30〜60分jogする長距離選手を見かけますが、それはダウンではありません。

持久力を高める目的のjogなら心拍70%前後が効率的です。通常、ダウンで走るペースはとても遅いものです。心肺機能を高める効果はほとんど無いと考えても良いでしょう。

きちんと目的と効果、意味を理解して【走る】必要があります。

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乳酸と疲労因子FF、疲労回復因子FR、その他の疲労を現す数値について


疲労物質と言えば乳酸が真っ先に思い浮かぶと思います。しかし、最近では他の疲労物質があると研究されているそうです。
 
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FR発生で効果的な回復を期待

FRとは、Fatigue Recover Factorの略で、疲労回復因子です。あえてカタカナで書くと、ファティーグ リカバー ファクターとなります。

fatigueの意味
疲労でした。

因子の意味は?
要素、要因であったり、生物学的には物質も因子と呼ぶみたいですね。

それに対して、FFは、Fatigue Factorの略で、疲労因子で疲労の原因と考えられるものです。

研究によると、副交感神経優位時にFRは発生するとのことです。クーリングダウン後や就寝後にしっかり伸ばす静的ストレッチをすることで、副交感神経が優位になることは以前記事で紹介しました。

ストレッチの記事を詳しく見る。

また、イミダゾールジペプチドというアミノ酸の一種を摂取するとFRの産生量が多くなるそうです。鶏の胸肉、牛肉、豚肉、マグロ等に含んでいますが、手軽に摂取できるサプリが有効です。早速購入して毎日飲んでいます。

FRを増やすイミダゾールジペプチド

FFとFRは、東京慈恵会医科大学の近藤一博教授が発見しました。

そちらの詳しい研究データがネット上に無いか探しましたが、具体的にランニングに参考にできそうなものは見つけられませんでした。
 
 

NHKで放送された内容も参考にしてダウンに必要な、適切な時間を考える。

1時間や1時間半のジョギング後、休憩をすることでFRの量が増えるという内容が放送されたらしいです。私は放送を観てませんが、、。

しかし、純粋なダウンと、FRを増やすためのジョギングは目的が違うのかなと私は考えています。あくまでも、私の意見です。私は研究者でも評論家でもありません。いちアスリートとしての経験からの意見です。

しかも、テレビで紹介しているジョギングの質がよくわかりません。心拍数で運動強度を管理したものなのか、血中乳酸濃度、呼気中の二酸化炭素濃度などを測定して運動強度を決めたジョギングなのか?おそらく、主観的なゆっくりでのジョギングだと思います。だから、あてになりません。

クーリングダウンに必要な時間

LSDの効果とデメリット

 
 

乳酸は疲労物質では無いという意見に対して

乳酸は疲労物質では無くエネルギー源だ書かれているブログをよく目にします。それも分かりますが、やはり筋肉の収縮を妨げているのは乳酸だと今は思いますし、乳酸をエネルギーとして利用するためには酸素供給と時間が必要です。

筋グリコーゲンを解糖するためには酸素が必要です。しかし、酸素供給が間に合わなくても解糖する、無酸素運動の話を以前紹介しました。

エネルギー供給系の説明

その時に筋収縮しにくくなるのは乳酸が原因だと考えられていましたが、違うという意見がFF、ファティーグ ファクターです。疲労因子のことです。

筋肉に乳酸を注射して、乳酸濃度を高めても筋収縮には影響が無かったという研究をネットで見つけました。じゃあ何が筋収縮を妨げているのか?それがFFだと言うのです。
 
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乳酸は疲労物質という表現は間違い

乳酸は疲労物質ではなく解糖エネルギー産生の副産物です。他にも二酸化炭素もあります。二酸化炭素は呼気から排出されます。乳酸は酸素供給により利用されるまでは筋肉の収縮を妨げるものとして存在し続けると考えられます。

現実的に、高強度なトレーニング中やレースで走っている最中に、乳酸が血中に浸透して肝臓に戻りグルコースに再合成されるにはとても時間がかかります。高強度運動による乳酸の産生によって運動が妨げられている方が影響大きいと思います。だから、乳酸が高強度な運動を阻害する=疲労物質と思われています。

捉え方次第で、低強度な運動ではエネルギー源として再利用される乳酸ですが、高強度な運動時には筋肉の収縮を妨げている原因としか思われていません。その時は疲労物質として捉えても良いと私は考えています。専門家の見解はわかりません。

今はこう考えていますが、今後新しい研究結果を見て勉強して、自分なりの理解をしたいと思います。
 
 

乳酸の説明とその他の疲労物質リン酸

東京大学の八田教授の研究で、乳酸を取り上げている興味深い研究があります。twitterのDMで教えてもらいました。
八田教授の研究室
 
 

血液検査で分かる疲労度合いクレアチンキナーゼ

確かに、病院などで血液検査をした時に、身体のダメージを現す数値のひとつに、CKというものがあります。クレアチンキナーゼです。

激しい運動で骨格筋から血中に溶け出すので、この数値が高いと【疲れている】と言えます。

正常範囲は、男性55〜210、女性44〜166
単位はIU/L(国際単位)

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FRを発生させるための具体的な方法

FRの発生に必要なことは、自律神経を副交感神経優位にすることだそうです。

副交感神経が優位になる時は以下の通りです。

睡眠中
短時間の昼寝中
起きていても休息中
食事中、消化吸収中
適温のお風呂に入っている時とその後
(適温は入って個人の主観によるもの。)
強めのマッサージを受けている時とその後
強めのストレッチをしている時とその後

走っている時=交感神経優位になりますので、長いダウンjogがFR発生の条件とは言えません。しかし、その後にしっかりと休息することで、その時にFRが発生することになるので、そこまで含めて説明してもらえると納得します。

先にも説明しましたが、長いダウンjogではそのjog自体は、効果的な有酸素運動レベルよりも低いのでトレーニング効果があまり期待できないものです。

ここまでしっかり理解して、ダウンjogの長さを考えて決めるべきです。FRを知っても私は長くしません。

理由は、その後に副交感神経優位になる時がたくさんあるからです。ダウンで1時間走るなら、私は1時間多く寝たいです。睡眠不足気味なので。
 
 

まとめ

近年色々な疲労の要素が取りざたされていますが、やるべきことはシンプルに考えた方が良いと思います。

適度なダウンに、適切なタイミングでの栄養補給、セフルケア、きちんと睡眠時間を確保することです。

FRについては、これから実験データを見つけて勉強したいと思います。

今回、乳酸やFR、FFについて調べようと思えたのは、twitterからのDMがきっかけでした。スポーツ科学分野は情報技術ほどの革新的な進歩や変化は無いにしろ、新しい発見で考え方が少しずつ変わっているようです。

疲れで乳酸溜まってるわ〜、という発言自体が間違いになっているような、なっていないようなそんな時期だと感じています。

最近は、ブログ記事も手軽に誰でも書けるので、同じ文章のコピペがいくつものサイト、ブログで目にすることがあります。少し手を加えていても、元ネタのコピペがすぐわかります。

そういうブログはあまり見ないようにしていますが、あながち間違っている訳でも無さそうです。

結局、最後に判断するのは自分です。勉強もコツコツと継続しなくてはいけないと、再認識した記事でした。

参考資料等

東京慈恵会医大 教授 近藤一博 氏

東京大学 教授 八田 秀雄 氏

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プライオメトリック(瞬発的な筋力発揮)

瞬発的な筋力発揮

プライオメトリックとは、ランニングに直結する瞬発的な筋力発揮のことです。

短距離や跳躍選手だけのもとの思われがちですが、そんなことはありません。中長距離選手でも効果はあります。

特に、脚が流れている人は、この動作が苦手だと思います。
脚が流れている人の原因と改善方法を詳しく見る。

それでは、プライオメトリックのトレーニング方法を詳しく説明する前に、他の筋肉発揮の方法をおさらいしましょう。

筋力発揮の仕方と具体例をいくつか挙げて簡単に説明します。

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様々な筋力発揮の方法

1 アイソメトリック(等尺性筋力発揮)
筋肉の長さが変化しない筋力発揮
壁を押す時
持ち上がらない程重い物を持ち上げようとしている時
腕立て伏せの姿勢で腕を伸ばして保持している時(腕だけではなく、腹筋もこの筋力発揮で耐えています。)

2 アイソトニック(伸縮性筋力発揮)
筋肉の長さが変化する筋力発揮
アイソトニックは二つに分けて説明できます。伸びる時を伸張性、縮む時を短縮性と言います。

(1) エキセントリック(伸張性筋力発揮)
伸ばされながら筋力を発揮する。
鉄棒で懸垂して上りきった位置からゆっくり下がる時

(2) コンセントリック(短縮性筋力発揮)
縮めながら筋力を発揮する。
懸垂で上がる時
走る時のふくらはぎ、ハムストリング
基本的にランニングでの筋肉の働きはこれになります。腕振りもそうです。

3 プライオメトリック(瞬発的筋力発揮)
瞬間的な伸張と短縮を伴う筋力発揮
ジャンプ、連続ジャンプ、縄跳び
走る時の接地から離地の動作(瞬間)

4 アイソキネティック(等速性筋力発揮)
一定負荷の筋力発揮、伸張と短縮
油圧の器具で筋トレした時
水中で歩行や走行した時の負荷のかかり方

それでは、次にプライオメトリックのトレーニング方法と効果を説明します。

プライオメトリックのトレーニング方法と効果

瞬発的な筋力発揮を鍛えるためには、その動作をすれば良いです。

具体的には、
その場で連続ジャンプ
縄跳び、二重跳び
ハードルジャンプ
バウンディング
ボックスジャンプ
等があります。

ランニングの接地動作の局面を強調して行うイメージです。両脚同時に行う場合と片足ずつ交互に行う場合があります。

順序としては、両脚から行うのがやりやすいと考えます。

ハードルジャンプまたはその場で連続ジャンプを例に説明します。

プライオメトリックの導入〜両脚同時にジャンプ〜

初心者は、ハードルを使わずにその場連続ジャンプからやると良いです。

学校等の階段の上りを使ってもできます。下りは危ないのでやめてください。

足先だけや脚だけの動作にならないように気をつけてください。

接地の瞬間に上半身全体で身体の重心を引き上げるイメージです。地面に足が着いてから、タメを作ってよいしょ!と跳ぶのではありません。跳ねるように跳びます。

肩甲骨から動作を起こして、約90度に曲げている腕をすくい上げるようにします。

肘を引いた時は肩甲骨が閉まります。背中の内側に寄ります。肘を前方に送り出す時に肩甲骨が開きます。

両手同時に、自分の前方30cmに対してボディーブローするイメージです。振り切るアッパーではありません。この時もランニングと同じように肘が身体の前に出過ぎないようにブロックしてください。ブロックした瞬間が接地の瞬間です。

このトレーニングでは、全身のコーディネーション能力を高めます。上半身と下半身、肩甲骨と骨盤、腕と脚、前腕(肘から先)と下肢(膝から下)、上腕(肘から上)と太もも(膝から上)の動作を同調させます。

身体操作の技術を高めると同時に、瞬発的な筋力発揮をすることで筋力も高めます。

プライオメトリックのトレーニングは、この二つの効果を狙ったものだと私は考えています。

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両脚同時ジャンプから片脚でジャンプへ

両脚同時の動作でタイミング、身体操作のリズムを掴むことができたら、次は左右の入れ替え操作をトレーニングします。

要するにランニングと同じ、片足ずつのジャンプです。

これがバウンディングです。

跳躍選手が頻繁に行うトレーニングです。陸上競技部に所属しているなら跳躍専門の選手に動作を見てもらってアドバイスしてもらえば良いです。

導入当初は、段階的なレベルアップを確認するために、立ち5段跳びで計測してみることをおすすめします。可能なら、跳躍ブロックの選手たちと一緒にやってみてください。専門の選手がどうやって跳んでいるかを生で見て、それを真似してみてください。中長専門の男子なら13m00〜50cmほど跳べればまずまずの記録でしょうか。跳躍専門の選手は14mくらい跳んでいました。助走なしで、最後は砂場に着地です。

砂場以外の場所では、グランドやトラック内の芝生等でもできます。雨天時や冬季は体育館の走路でもできます。この場合は着地動作は無しです。5回、10回とバウンディングする歩数を段階的に増やして行きます。最終的には、100mバウンディングで歩数を数えてみてください。私は助走無しで41歩が最高記録でした。

右脚と左腕が同調します。同時に左脚と右脚が同調します。どちらか一方だけを強く意識すれば反対側は反射で動きます。

複数本やる場合は、右を意識する回と左を意識する回でやれば苦手な方がわかります。ランニングの時でも同じことが言えると思います。

ボックスジャンプ

ボックスジャンプは、40cmほどの高さの安定した台を二つ置きます。説明上AとBで名前をつけます。

当初Aに乗ります。
地面に対して飛び降りて、接地した瞬間に
Bに跳び乗ります。

これだけです。
台の間隔は適宜決めてください。安定した大きな台じゃないと危ないので気をつけてください。

これを複数回行います。
意識することや行うこと動作は、先に説明している連続ジャンプと同じです。

個人的には、これはほとんどやったことありません。ハードルジャンプとバウンディングを主にやっていました。

まとめ

中長距離選手が、プライオメトリックのトレーニングを行う頻度や量は、短距離や跳躍、投擲選手よりも少なくて良いと思います。

最大、週に2日だと私は考えます。ポイント練習(スピード練習)を行う日にアップとして取り組めば良いと思います。理由は超回復のサイクルに当てはめるためです。

ただし、やるべきかどうかは自分で判断してください。過度な疲労や脚に痛みがある状態でやるトレーニングではありません。

プライオメトリックは、スピードが苦手なタイプの人ほど、嫌いで苦手な動作だと思います。苦手な原因は筋力ではなく、身体操作の方だと思います。私の指導経験からの意見ですが、スピードが苦手な人は不器用な人が多いです。

最も苦手な人は連続して跳ぶことができませんでした。一回一回止まってしまい、動作の連続性が無いのです。脚だけで跳ぼうとらします。だから、走りの動作も固くスピードが出せません。

スピードが苦手、短距離が遅いからという理由で長距離をやっている人はほとんどこれに当てはまると思います。

そんな人ほど、練習の一部に補強として取り入れると効果があるでしょう。スピード練習をする時の、アップの中で流しの前に少しやるのも方法です。練習の最後に補強としてやるのも方法です。

自分には必要だと感じている人が、練習の流れの中でどこかに組み込めば良いと思います。

学生や30歳未満の若いアスリートは、高く+遠くへ+速く跳ぶように段階的にレベルを上げて行けば良いです。

ただし、社会人でベテランアスリートの方は方は気をつけてください。具体的には35歳以上の人は、若い時よりも筋力がかなり低下しています。自分が思っている以上に筋力は衰えています。

張り切ってやりすぎると筋膜炎や肉離れを起こす原因になってしまいます。

身体にいつもと違う、速い刺激を軽めに入れる程度に考えておけば良いと思います。

怪我をしては元も子もないですから。

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速筋と遅筋、その中間の筋肉について

筋繊維の分類

速筋、タイプIIb、白色、瞬発力、短時間で大きな力が出せます。

速筋(中間)、タイプIIa、ピンク色、瞬発力と持久力の中間

遅筋、タイプI、赤色、持久力、大きな力は出せないが長く運動継続できます。

この三種類に分類されます。

特に、遅筋は酸素を取り込むことでエネルギーを作り出しますので、貧血だと能力を発揮することはできません。
持久系アスリートと貧血の説明

エネルギー供給系と筋繊維の特性

速筋、中間、遅筋の能力とエネルギー供給系が一致すると考えられます。

速筋→クレアチンリン酸系、ホスファゲン系(瞬発力〜耐乳酸スピード)

速筋(中間)→ホスファゲン系、無気的解糖系(耐乳酸スピード〜耐乳酸持久力)

遅筋→有気的解糖系(持久力)

結局のところ、それぞれの筋繊維を増やしたい場合は、鍛えたい距離(運動時間)を鍛えたいスピードでトレーニングすることが必要になってきます。

エネルギー供給系の詳しい説明

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私の体験談と他の選手の例

私が見てきた陸上選手たちや自分自身を考えて見ても、持って生まれた特性はほとんど変化しないと思います。

それよりも、本人の目標や意識、技術的要素がパフォーマンスに大きく関わっています。

トレーニングによって速筋、遅筋の割合がひっくり返る程変わるのか?と言うと疑問です。計画的かつ段階的に長期間継続すれば変わるかもしれません。

しかし、経験的には割合は変わらないと思います。トレーニングすればそのトレーニングで高められた能力はアップするとは思いますが。後は、スプリントの技術や最大筋力、筋肉量、長距離を走る省エネなフォームと技術が競技力に占める割合が大きいと思います。

長距離選手のスプリントトレーニング

長距離選手が短距離を速くなるのは見たことがありません。長距離選手は、不器用な人が多いです。スプリントの技術を練習しようという気持ちも持ちません。長い距離にこだわるので走行距離が減るような練習を好まない傾向も強いです。身体能力的には素質があったとしても、専門が長距離だという意識とトレーニングの考え方が能力の幅を狭めている原因になっていると考えられます。

しかし、中には器用な選手もおり、今まで取り組まなかったスプリント動作をやることで、スピードの出し方のコツをつかんで1500mが一気に伸びる選手もいます。そうすると相乗効果で5000mの記録も引き上げられます。スピードにゆとりが生まれるので、柔らかく無駄のないフォームを獲得するきっかけになります。これも速筋繊維が増えたのではなくて、スピードの出し方=技術的な問題を解決したことによる効果だと考えられます。

長距離選手が短距離的な能力を改善したい場合の練習例
スピード練習の導入やスピード感を戻す練習方法

短距離選手の持久力トレーニング

逆に、短距離選手が積極的に長い距離をトレーニングに取り入れて長距離のタイムが劇的に伸びたのは見たことはあります。この場合、短距離の能力をそんなに落とすことなく、長い距離も走れるようになるという相反する能力を併せ持つ人がいます。こういう選手が、400-800mタイプの選手です。私の元教え子で、100m10"9台、800m1'53"台、5000m15'45"がいます。

彼が、高校を卒業したばかりの頃は、400m48"台、800mを志しましたが柔らかい走りが上手くできずに、800m2分もなかなか切れませんでした。ランニングの技術的な成長で、スピードを殺さずに省エネな走りができるようになり、伸びました。単純に遅筋繊維が増大したから速くなったとは考えにくいです。

中距離選手のスプリントトレーニングと持久力トレーニング

800m、1500mを専門とする選手が最も幅広く走れます。しかし、中途半端です。短距離が速い訳ではなく、長距離も速い訳ではありません。

800m専門であれば短距離寄り、1500m専門であれば長距離寄りの特性になります。

夏場は短距離と一緒に練習してマイルリレーのメンバーとして活躍し、冬場は長距離と一緒に駅伝メンバーとして活躍する選手も多いでしょう。

まとめ

筋繊維の分類は、あくまでも医学的なもの、学術的なものとして知識としておさえておけばよいと思います。

実際は、本人の目標、やる気、技術的な進歩、トレーニングの継続でパフォーマンスは向上します。

その結果、検査をしてみたら速筋繊維が増えていたとか、遅筋繊維が増えていた、という結果論になると思います。5000円ほどでこの検査ができるとネットで見つけたことがありますが、私はやろうとは思いません。

やるならば、計画的にシーズン直後(好調な時の後)に測定して、冬季トレーニング直後=次のシーズンインの直前に再度継続して、その変化を確認するなら意味はあると思います。

狙い通り、狙った筋繊維が増えているか?全体の筋肉量が増えているか?等、検証するための要素のひとつではあると思います。

私は、そこまでやっている人を見たことも聞いたこともありません。

今、自分に必要なことは何かをよく考えましょう。

年間を通して計画的なトレーニングを考える。

練習日誌を書くコツ

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中距離、長距離種目とエネルギー供給のしくみ


体力の要素の話は他の記事で紹介しています。
体力を要素に分解してトレーニングで鍛えることを意識する。を詳しく見る。

今回は、走ることに焦点を当てて、さらに走るスピードによって使われるエネルギーが違うということを説明します。

車の燃料はガソリンや軽油です。エンジンの機能を維持するためにエンジンオイル、冷却水などが必要です。車は短距離でも長距離でも同じ燃料で走ります。

人は食事をエネルギーに換えて活動することができます。また生命維持のために酸素と水分が必要です。走る時には、運動強度や運動時間によって使われるエネルギーが違います。知ってましたか?

これが陸上競技で専門種目を分ける壁になっています。

それでは、走るためのエネルギー供給系について説明します。

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【短距離】クレアチンリン酸系(無酸素運動)

100mほとんど
200mと400mのスタートダッシュ時

クレアチンリン酸
10秒以内の高負荷運動
CPやクレアチンという名前のサプリメントで補うことができます。
Cはクレアチン、Pはリン(Pi)
数分休憩すれば筋肉内で再合成されます。

(具体例)
スタートダッシュ数本や加速走数本、ジャンプ系の補強
やる時は全力で走る、休む時は完全休養で回復させます。

クレアチンのサプリメント
瞬発的な運動直後に摂取することで回復を早めます。

【短距離】ホスファゲン系(無酸素運動)

200mの後半
400mの序盤〜終盤
約10″〜40″の全力運動
筋肉内の酸素
筋肉内のミトコンドリアによるATP⇄ADP合成
ATP-ADPサイクル

ATPのTはトリプルの3、ADPのDはダブルの2で、Pはリンです。

爆発的なエネルギーを発生させたクレアチンリン酸は最初の約10″で消費されてしまいます。

その後、呼吸による酸素を消費しない状態で、アデノシン三リン酸からアデノシンニリン酸へ変換、そして再合成と変換を繰り返してエネルギーが発生します。エネルギー産生には大量の酸素が必要ですが、この時は筋肉内の酸素を消費しています。副産物として乳酸も産生されます。

乳酸は酸素によって分解されますが、発生する乳酸の量の方が多いため、乳酸の量は増えていきます。

人にもよりますが300m弱で筋肉内の酸素は尽き、急激に乳酸の蓄積が起こります。

高強度の運動を続けている限り乳酸は蓄積され続けます。こうなると筋肉の収縮が困難になりスピードは一気に落ちます。

運動強度を緩めるか止めると徐々に乳酸は減っていきます。呼吸により吸収した酸素と乳酸が結合して分解されます。

陸上競技400mのエネルギーの内
約80%はクレアチンリン酸系とホスファゲン系
約20%はこの後紹介する無気的解糖系になります。

この20%が、短距離選手でも400mは持久的な能力が必要な理由です。

クレアチンのサプリメント
瞬発的な運動直後に摂取することで回復を早めます。

 

【中距離】無気的解糖系

400mの約20%ラスト(約40秒以降)
800mの約60%
1500mの約40%

呼吸による酸素
筋肉内のミトコンドリアによるATP⇄ADP合成
ATP-ADPサイクル
約40秒〜1分30秒の高強度運動
乳酸蓄積と酸素負債

ホスファゲン系と同様に、筋肉内のATP⇄ADP合成が行われ、エネルギーを産生します。同時に疲労物質である乳酸も発生します。

呼吸により大量の酸素を身体に取り込んでいますが、消費する酸素の方が多いため、高強度の運動時には酸素が足りなくなって、筋肉内の酸素を借りてきてまで合成を繰り返します。これを酸素負債と言います。

中距離種目では、この酸素を使い切るペースを配分するために、走るペース配分をすることになります。全力で突っ込んだ走りでは、スピード維持が不可能になります。

酸素負債は酸素の借金みたいなものです。借りたお金は返さなくてはいけません。借りた酸素も返します。800m、1500mを全力で走るとゴールしても呼吸はすぐには落ち着きません。

超しんどくて、中腰で両手を膝について頭を下げたり、地面に四つん這いになっている人もいます。この時に、体全体に酸素を返しています。頭を下げてしまうくらいキツイのは脳の酸素が足りないからです。

ゴール後はすぐにゆっくりなダウンjogをして、酸素を体内に取り込んで、速やかに乳酸を除去する必要があります。

プロテイン
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【長距離】有気的解糖系、ATより上のレベル

800mの約40%
1500mの約60%
3000m〜ハーフマラソン

呼吸による酸素
筋肉内のミトコンドリアによるATP⇄ADP合成
ATP-ADPサイクル
約1’30″以上の中強度の運動
または低強度の連続運動

より長い距離を速いスピードで走ることが、陸上競技長距離種目の求める姿です。

ATの説明

上に書いてあるATとは、無酸素生作業閾値(いきち)のことでアネロビック•スレショールドの頭文字の略です。スレショールドの意味は境目で、閾値(いきち)という言葉で表現しています。

簡単に言うと、無酸素運動と有酸素運動の境界です。

有酸素運動とは、呼吸によって取り込んだ酸素を元にATP⇄ADPサイクルでエネルギーを産生している状態です。当然、乳酸も発生していますが、呼吸の酸素である程度分解されており、血中乳酸濃度は上昇していますが、運動続行可能なレベルです。

無酸素運動とは、呼吸の酸素だけでは足りず筋肉内の酸素も使って、ATP⇄ADPサイクルでエネルギーを産生している状態です。発生した乳酸を分解することが難しい状態です。

長距離種目のハーフマラソンまでは、ATのペースを超えます。長距離種目と言っても、このように無酸素領域に入っています。どれくらい無酸素領域に踏み込むかでスピードが上がります。スピードを上げすぎると乳酸の除去が追い付かなくなって、スピード維持ができなくなります。

運動強度を高くすれば走るスピードは上がりますが、酸素供給が追い付かなくなり乳酸が急激に蓄積されます。運動強度を少し落とせばスピードも落ちますが、乳酸の産生も少なく抑えられます。

距離によって、このあいまいな表現のペース設定、ペース配分をして、可能な限り速いスピードを維持して最後に力を出し切る。これが長距離種目の本質になります。

長距離の各種目共通で、スタート直後はクレアチンリン酸系、ゴールスプリント、ラストスパートは無気的解糖系のエネルギーで走っています。

 

【長距離】有気的解糖系、ATより下のレベル

フルマラソン

他の長距離種目との大きな違いは、フルマラソンのスピード、ペースはATを超えない!と言うことです。

そして、もう1つの違いは体内のエネルギー全てを使い切ってしまうレベルの運動だと言うことです。個人差はありますが、ほとんどの人はエネルギー切れになるはずです。

これが30kmや35kmの壁と言われるものの原因だと私は考えています。

私の考えですが、良かったら読んでみてください。フルマラソンのエネルギー必要量と補給

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まとめ

わかりやすくするために種目と距離でそれぞれのエネルギー供給系の説明してをしました。誤解しないで欲しい点は、ある距離で突然切り替わる訳ではありません。それぞれのエネルギー供給系は運動時間と運動強度によって、無段階的に身体の中で自動で作用しています。

陸上競技の種目で言えば、短距離は100〜400m、中距離は800mと1500m、長距離が3000m以上に区分される理由は、主に使われるエネルギー供給系の違いであると私は考えています。

個人の性質によって、得意なエネルギー供給系が異なり、その距離が得意であると認識して、陸上競技の種目を選んでいると思います。みんな自分の能力を一番出せる舞台で戦いたいですからね。

私のホームページの練習メニュー選択システムを作った時に、この個人の性質と言いますか運動特性を考慮しました。

同じ目的のトレーニングメニューを作る時に、持久力タイプは連続して、中間タイプは距離を分割して、瞬発力タイプは距離を細切れにしてペースを速め、反復して走ることで持久力向上を狙います。

約10年前に教えた、約50人の初心者チームがありました。そこでこの3タイプに分けた練習メニューで教えました。全く陸上経験がないメンバーから1年くらいで5km16分台を5人出しました。その5人以外には15’台が3人いて陸上長距離経験者でしたが、短期間で急成長をするメンバーたちを見て驚いていました。高校の部活動のやり方とは全く違うとも言われました。

その後も、約7年間たくさんの選手を教える機会がありましたが、全てこの3タイプで教えました。

そうすると、面白いことがわかりました。
タイプによって性格の傾向や組織の中での役割が見えてきました。チームスポーツではとても重要な要素になります。陸上は個人競技ですが、部活動やクラブチームで部長やブロック長を選ぶ時に影響します。この話はまた他の機会に紹介します。

性格も個人特有ですが、筋肉繊維の割合も個人によって異なります。
筋肉繊維、速筋、遅筋、その中間の説明

栄養についておさらい、勉強することでより理解が深まります。

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ファルトレク(スピード変化を極端に行い様々な効果を)

ファルトレクって何ですか?

ネットとかで見たことあるけど具体的に何をやって良いのかよくわかりません。
、、とよく聞かれます。

ファルトレクは、元はスゥェーデンの軍隊で行われていた隊員の体力養成訓練のひとつです。

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クロスカントリーの様な、自然の地形を利用して走り、木等の目印を利用してスピードの上げ下げを行ったり、教官が警笛を吹いたらダッシュ、再び吹いたらジョグ、のように自分の意思でなはく、第三者の合図によって一気にスピードを切り替える方法もあります。スピードプレイとも呼ばれています。

ここまでは、ネットや書籍で調べてもよく見られる文章ですね。

それでは、具体的な練習メニューとして私なりの解釈で、私がやっている内容を紹介します。

一人で練習する場合の単独ファルトレク

私はロードや河川敷の舗装路でやっています。
走る距離は最初に決めています。6〜10kmです。
基本となるペースはjogで、心拍60%〜70%の普段通りのjogです。
総距離10kmなら、1/3〜2/3をスピードアップして筋力と心肺機能に刺激を入れます。距離にして、3〜6kmは速いペースです。心拍75〜85%になります。

このスピードアップして走る3〜6kmを分割して、100m〜1000mで総距離10kmの中に散らします。

不規則に距離を散らす方法(思いつきで適当に!)と、規則的に散らす方法が考えられます。

不規則に距離を散らすメニュー例

思いつきで気ままに走る!

1km jog(累計距離)
100m上げ(1.1km)
300m jog(1.4km)
300m上げ(1.7km)
200m jog(1.9km)
200m上げ(2.1km)
500m jog(2.7km)
1km上げ(3.7km)
500m jog(4.2km)
500m上げ(4.7km)
500m jog(5.2km)
1km上げ(6.2km)
500m jog(6.7km)
200m上げ(6.9km)
100m jog(7.0km)
200m上げ(7.2km)
200m jog(7.4km)
500m上げ(7.9km)
500m jog(8.4km)
100m×5(jog100mつなぎ)(9.4km)
600m jog(10.0km)終了

上げる距離は適当です。上げるペースも適当です。最低限jogより速ければ効果があります。数回、かなりがんばったダッシュをしても良いでしょうし、快調走でも良いでしょう。5000mや1500mのレースペースを意識して走っても良いでしょう。

最初と最後だけは、アップとダウンでjogにします。止まらないで走り続けますので、短時間で練習が終わります。アップのjog1kmの後に、一旦止まって体操と軽いストレッチ、動的ストレッチをしてから再スタートでも問題ありません。

不規則適当バージョンの場合は、GPSウォッチがあると距離とペースが分かるので面白いと思います。無くてもできます。好みの問題です。

GPSウォッチについて。

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規則的に距離を散らすメニューの例

1km jog(累計距離)
100m×5(jog200mつなぎ)(2.5km)
200m上げ(2.7km)
200m jog(2.9km)
300m 上げ(3.2km)
300m jog(3.5km)
1km上げ(4.5km)
500m jog(5.0km)
1km上げ(6.0km)
500m jog(6.5km)
1km上げ(7.5km)
500m jog(8.0km)
100m×5(jog100mつなぎ)(9.0km)
1km jog(10km)終了

不規則メニューと同じ考え方です。
こちらは、距離を規則的に分散して、連続して走る軽めのインターバルといった感じにしています。個人的にはこちらが性格に合っており、こちらでやっています。
どちらにも共通して言えることが、練習が短時間で終わるということです。

ファルトレクは、特に寒い冬にオススメです。低温でスピードを出しにくい時も、ペースの上げ下げで身体がとても温まります。
ファルトレクの美味しい効果

普通のjogだと心拍数は一定か、後半ペースアップした分だけ少し上がります。淡々とリズム良く最後まで走る練習方法です。

ファルトレクは、ペースの上げ下げがあるので、スピードアップの時はjogでは使わない強めの筋力発揮が必要なので走りながらの筋トレになります。そして、心拍数も上がります。ここに意味があるのです。

スピードアップで上がった心拍数は、jogに移行してもしばらく高いまま維持されます。ここがミソです。筋力はjogで休めながら心肺機能を高めるために必要な心拍数は高い状態を維持できる、とても美味しいメニューです。jogに移行して心拍数は徐々に下がり、そのままjogを続ければ心拍60〜70%の通常の有酸素運動の領域に留まります。

しかし、心拍数が下がりきる前に再度スピードアップをすることで、心拍数は上昇し80%前後で走ることになります。がんばり度合いによっては85%を超えます。

この80〜85%が有酸素性作業閾値(AT)、乳酸性作業閾値(LT)と呼ばれる長距離走トレーニングにとって重要な領域になります。

長距離走はこのAT、LTを向上させることで速くなります。

最も効果的なAT向上のトレーニングは、AT域での20分走を2回、心拍70%のjog5′(1km前後)でつなぐトレーニングです。5000m14分後半レベルの選手で3分20秒ペースくらいになりますので、6000m×2になります。たいていの市民ランナーは20分に合わせると時間的に5000m×2になります。

これが、いわゆる『ペース走』というものです。私のホームページでは、距離が長めのペース走と区別するためにATペース走やAT走と呼んでいます。

ファルトレクはATを分散して走るイメージで、jogで休憩するので比較的ラクに高い心拍数を保てます。本格的な陸上競技のトレーニングを行う前段階に、準備として走っておく練習にぴったりです。
ファルトレクで速く走る区間のスピードをさらにアップした場合

ペースアップした時を5000mや1500mのレースペースまで上げてしっかり走れば、インターバルトレーニングの効果も生まれます。この場合は、ペースアップ状態からjogに移行しても、心拍数はしばらく上がり続け、1kmくらいの長めのペースアップをすれば90%を超えます。つなぎのjogの間も90%〜85%〜80%〜75%というように高めの心拍数を維持することになります。

 

グループで行うファルトレク(2人以上)

内容は単独で行うファルトレクと同じです。

複数で行う場合は、距離で役割を分担するのがわかりやすいでしょう。

例えば、5人で総距離10kmのファルトレクをやるとします。

1kmごとにリーダーを交代することにして、リーダーは与えられた1kmの区間で距離とペースを不規則に上げ下げします。他の人は、リーダーが上げ下げしたペース変化に即座に対応して一緒に走るようにします。これは、レベルの高い話では予選レースのゆさぶりや予想外のスパートに対応するトレーニングにもなります。

最初と最後の1kmをアップとダウンにして、仲間と順番を相談しながらアップをして、良かった点や反省点等を話ながらダウンをするのも楽しいでしょう!

また、複数で行う場合の注意点としては、実力の違うメンバーで一緒に走る場合は、実力が劣る人の総距離を短く設定すると一緒に走れるでしょう。その際は、野外で周回コースを設定して走れば、何周目に抜けて休憩して、次の周回で復帰する等の応用も効きます。

速い選手にとってはATレベルのファルトレクでも、遅い選手にとってはインターバルレベルのファルトレクになります。その時は、得られるトレーニング効果や走る距離が異なりますが、レベルが違う人たちが一緒に効率的なトレーニングができる仕掛けをつくることができます。これはコーチ目線ですが、部活動やクラブチームで、指導力のある人は提案してみんなでやってみてはいかがでしょうか?いつもと違った面白いトレーニングになると思います。

 

まとめ、ファルトレクが効果的な理由

長距離走のトレーニングで持久力を高めたい時は、いかに長く心拍数を高い状態で過ごすことが重要になってきます。

ファルトレクでは、スピードの上げ下げをすることで、心拍数が高い状態が細切れに分散する訳ですが、心拍数が高い状態の積算時間はスピードを出して走っている時間よりも長くなります。

繰り返しますが、スピードアップした後のつなぎのjogの時も心拍数が高めから徐々に落ちて行き、体はjogをしているけど、心臓はスピードアップの余韻で高いままだということです。

筋力を休めながら心肺機能に適度な刺激を入れることです。

普通のjogだけでは得られない筋力アップ、ペース変化への対応力、フォームの切り替えが自然に身につきます。

スピードをあまり出さない冬季練習や、シーズンイン前のスピード練習導入時期にも適しています。

機会があったらぜひ練習に取り入れてみてください!



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体を絞るにはどうすれば良いですか?


腹筋

体の絞り方って?

どうやったら体を絞ることができますか?
と質問を受けることがあります。この質問には、2通りの解釈の仕方があります。

一つ目は、無駄な皮下脂肪を落としたいということ。

二つ目は、肥大した無駄な筋肉を細くしたいということです。

今回は、一つ目の無駄な皮下脂肪を落とす方法について考えてみましょう。

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陸上部員が無駄な皮下脂肪を落とす方法

中長距離選手なら比較的簡単に絞れます。というよりも、普通の中長距離選手なら太りません。日々のトレーニングが持久力主体ですし、エネルギー消費が大きいので。太るのはやるべき練習をやっていないと考えることができます。

もし、やるべき練習をやっていて太るなら、それは食べすぎです。過剰なエネルギー摂取により、消費カロリーを上回る摂取カロリーだということです。食生活を見直してください。

次に、短距離選手が皮下脂肪を落としたい場合について考えてみましょう。

まず、通常のトレーニングを継続してやり続けることです。やるべき日に練習をさぼったりするようでは論外です。運動量を最低限確保することが日常的なエネルギー消費につながります。やせたいからと言って、短距離選手が長いジョギングばかりやることは絶対におすすめしません。

冬季トレーニング期間なら距離走も基礎的な持久力向上に必要ですが、時間にすると30分以内に留めましょう。それ以上走れるようなら、時間を延ばすのではなくペースを速めましょう。

トラックシーズン中は距離を走るのは控えましょう。速い動作が鈍り、スプリントの能力が低下する可能性があります。

シーズン中は、ペースを抑えて本数を増やしたセット走をおすすめします。

 

セット走とは?

何セットか距離と本数を組んで、インターバルとレペティションの中間的なトレーニングにあたります。距離は100〜400mを組み合わせてください。

例えば、
100m×5本×3set
100mを歩きでつないで回復します。
レペティションのように完全休息はせずにゆっくり歩きながら回復できる限り回復します。

セット間は10分restです。
タイム設定の目安は400mレースペースです。400m50″0の人なら12″5です。最後の3set目をこのタイムで走るようにして、1set目13″5〜、2set目13″0〜徐々にタイムを上げて行くように設定すれば、最後までしっかり走り切れるでしょう。

だいたい2分に1本走る間隔になると思うので、1set約10分の連続運動です。つなぎの歩きを含めて。歩きと言えども100mを走った直後の歩きなので、動作は歩いていますが心拍数はジョギングしているレベルのままです。そして、またすぐに100mを疾走するので、身体的には常に心拍数が高い状態が続きます。これが狙いです。

瞬発力タイプの選手にとっては、スピード持久力養成のトレーニングになります。

私は、800m専門でマイルリレーもやっていましたので、スピード練習として定期的にやっていました。12″5を基準タイムとして、ラストのセットは11″後半でやっていました。その後にプラスαとして400mを54″前後で走って、練習を締めくくっていました。800mの入り400mをイメージして走っていました。

だらだらと40分ジョギングするより遥かに効果的にカロリーを消費しますし、実戦的な練習です。

 

走る以外にできること。

それでは、通常のトレーニング以外に必要なことを考えます。

第1は、日常的に行っている筋トレを継続すること。筋肉量が多いと基礎代謝と上がりますので、日常生活を送っているだけてエネルギー消費が多くなります。

もし、日常的に筋トレを行っていない場合は、計画的に筋力トレーニングを練習内容の一つに組み込むことです。

第2は、夜間のお菓子やカップラーメン等の不要な間食を控えることです。就寝3時間前は食べないことです。どうしても口さみしい時は、あったかい牛乳やお茶を飲んだり、スルメを食べてください。

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第3は、寝る前のストレッチを習慣にすることです。アップでやるような動的なものではなく、静的なストレッチです。痛気持ち良くなるまでしっかりと時間をかけて伸ばしてください。引き伸ばされた筋肉は破壊されて、寝ている間に修復され柔軟な強い筋肉に生まれ変わります。また、修復にもエネルギーが消費がされます。このストレッチをウォーミングアップでやるとパフォーマンスが一時的に低下しますので使い分けに注意してください。

ストレッチの正しい知識を詳しく見る。

 

まとめ、運動生理学を知り自分を知ることが大切

自分の専門的な能力、持ち味を殺さずに、専門種目にもプラスになる方法があるはずです。運動生理学について無知であれば、まず簡単な本から勉強してみてはいかがでしょうか。論文のような本では無く、なるべく図解付きの文字の大き目の本がおすすめです。基礎的な事項は変わりませんので。それで、興味が湧けばもう少し専門的な本で知識を深めれば良いのです。

最終的には、自分に合った方法は自分で考え出すのが一番です。

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走る体力要素の説明






体力の話の時に、最後に書いた項目です。
体力を要素に分解する。を詳しく見る。

  1. 瞬発力
  2. 無機的解糖系(乳酸処理能力)
  3. 最大酸素摂取量
  4. 無酸素性作業閾値
  5. 有気的解糖系(基礎的持久力)

今回はこれらを説明します。

瞬発力

非常に短い時間内に大きな力を発揮する能力です。

筋肉内に貯蔵されているクレアチンリン酸がエネルギー源になります。市販のサプリメントの名前で聞き覚えがある人も多いのではないでしょうか。

クレアチンリン酸は短時間の全力運動で10秒程度で使い切ってしまうと言われています。休憩すると一定の時間で回復します。

短距離の100m走りはまさにこの能力で走ることになります。

 

無機的解糖系(乳酸処理能力)

乳酸に耐える能力とも言えます。筋肉内の糖の一種であるグリコーゲンがエネルギー源となり、全力運動で約40秒の運動が可能です。グリコーゲンは酸素を必要とせずにエネルギーを発生させますので無酸素運動になります。しかし長く続けることができません。

エネルギー発生とともに疲労物質である乳酸も発生します。乳酸が筋肉内に溜まると筋収縮がしにくくなり、走るスピードは落ちます。

陸上競技400mはこの能力と瞬発力を兼ね備えている選手が有利です。

800m専門の選手は乳酸に耐える能力が高く、ある程度の瞬発力もあり持久力も比較的得意です。800mは約60%が無酸素運動になります。

1500mでも約40%は無酸素運動になります。

 

最大酸素摂取量

体重1kgあたりに取り込むことができる酸素の量です。酸素を多く取り込むことができ、体重が軽く、体脂肪率が低い人ほど高い数値になります。この数値が高いほど長距離走が速いと判断できます。

最大酸素摂取量のペースは約10分しか続けることができないと言われています。

10分間の全力走をして、走った距離でおおよそのペースがわかります。

3.5km2’51”

3.4km2’56”

3.3km3’01”

3.2km3’07”

3.1km3’13”

3.0km3’20”

2.9km3’26”

2.8km3’34”

2.7km3’44”

2.6km3’50”

2.5km4’00”

2.4km4’10”

このペースでインターバル走を何本か行うことが最大酸素摂取量を高めるための練習になります。

しかしながら、インターバル走の設定は、レースペースを基準にして反復する方法もあります。3000mや5000mのレースペースを分割して反復することで、ペース感覚やリズム感を身につける効果もあります。

 

無酸素性作業閾値

もう少し言葉を加えると、無酸素性エネルギー代謝作業閾値となります。

無酸素運動と有酸素運動の境目(閾値:いきち)です。

ATと呼ばれアネロビックスレショールドの略です。血液中の乳酸濃度で測定したものをLTで、ラクティックスレショールドの略です。AT=LTと考えて良いと思います。文献によっては、さらに上にもう一つ閾値があるとされていますが、このホームページではそれは使いません。そこは速度域が速いのでレースペース相当になるため、レースペースを基準にしペース設定をするため考えません。

ゆっくり走り始めて徐々にスピードアップして行った時にATを超えると急に乳酸が溜まり始めます。それまでは、呼吸によって取り込んだ酸素で乳酸を分解することができています。AT以上では、乳酸の分解が追いつかなくなり速くなればなるほど乳酸が発生します。運動をやめるかスピードを緩めない限り乳酸は減りません。

AT基準で考えると、ハーフマラソンはATと同じくらいか少し速いペース、フルマラソンはATより遅いペースになります。約1時間の全力運動はATを超えるくらいが限界と言われています。




実際には計測が難しい理論上の話ですが、60分間走り切れるほぼ一定ペースのランニングがATのペースと考えることもできます。

例えば、ロードレースで有り得る距離なら10マイル(16km)に出場して、16km1:00’00″のタイムなら3’45″がATペースと言うことです。そのペースをATペース走に設定すれば適度なペースでの練習が可能になります。

しかし、そんなに都合良い場合ばかりでは無いので、考え方を応用してATを予想することはできます。

16km55’00″なら3’26″ペースですが、あと5分あるので5分持たせるためにはペースは少し落ちます。3’27-28″をATと考えて良いでしょう。

逆に遅い場合。16km75’00″の場合は、平均4’41″ペースです。あと15分短い時間で良いのならどれくらい速く走れるか考えてみます。ここからは勘と感覚の世界で非常に主観的になりますので正確ではありません。私なら10秒速く、です。4’31″がAT予想です。

この方法は、ロードレース16kmが60分前後の人しか使えない方法です。

このホームページでは、私独自の方法で5000mや3000mのタイムからATを予想して設定していますので、これらの方法はあくまでも理論的な参考にしてください。レベルが合う人だけ試してみると良いと思います。