コーチがいないトライアスロンジュニア選手のためのバイク練習


エリートクラスを目指すジュニア選手の大半は、トライアスロンのクラブチームに所属して活動しています。しかし、クラブチームが無い地方の選手は一人で練習することになります。関東、関西、東海、九州はジュニア育成が盛んです。それ以外の地域、地方ではトライアスロンの指導者から直接指導を受ける機会がほとんど無いと思います。
 
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トライアスロンに取り組むジュニア選手

高校生までのジュニア選手は、大学生や社会人と比較してバイク練習が不足する傾向にあります。学校や部活動、スイミングスクールと陸上部掛け持ちなど、時間的な制約があります。しかし、ジュニア選手にとっての優先順位は、スイム→ラン→バイクだと思います。

そこで、優先順位は低いけど全くバイク練習をしない訳にはいかない、必要最小限で効果的なトレーニングを考えてみます。

 
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基礎的持久力はスイムと陸上で養われている

体力的な基礎は養われていると考えて良いでしょう。ですので、ロングライドや一定ペースの40kmライドなどは積極的にやる必要はありません。

ロングライド→心拍60〜70%
40kmライド→心拍65〜75%
私ならこのように負荷を設定します。

これらは、水泳と陸上長距離で十分にできています。これより負荷の高いトレーニングを短時間で上に載せるイメージでトレーニングプランを考えます。

 
 

バイクでのインターバル

陸上のインターバルトレーニングなら、1000m×5、200m×5×2、300m×10などです。走る距離とタイムを決めて、つなぎの距離とタイムも決めます。

水泳のインターバルトレーニングなら、100m×10(1’30″サークル)、200m×5(3’00″サークル)などです。サークルで時間制限を設けて泳いだ残り時間の数秒〜十数秒を休むスタイルが一般的だと思います。

バイクでも同様に考えれば良いです。【自分が必要だと考えるポイント】をインターバルで上げる区間に入れて、それを反復します。

インターバルは、距離や区間で決める方法とタイムで決める方法が考えられます。

 
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起伏のある周回コースを用いる場合

緩い登り、平坦区間など強調したい区間を速く走れば良いです。例えば、周回コース5km×4周する間に、平坦区間800mだけを全力で走り、他はイージーでつなぐ方法。トップスピード強化です。

また、登り区間500mだけを全力で登り、他をイージーでつなぐ方法。登り強化です。

その両方を強調する方法もあります。より実戦的になります。

また、周回ごとに強弱をつける方法もあります。

1,3周はイージー
2,4周はハード

ハードで走る周回をレースをイメージして走ります。イージー区間で反省しながら次の課題を整理しておきます。

 
 

平坦な周回コースを用いる場合

タイムで強弱をつける方法が適しています。

①2’サークル20″全力×18本
→男子なら36’で約20kmになるでしょう。

②2’サークル30″全力×18本

③1’サークル15″全力×36本

このようにステップアップして、トップスピードも上げて行きます。

②と③のイメージとしては、4人でローテーションを回している場面です。

全力と書いていますが、最初はやや抑え気味で良いです。30″〜15″の全力、上げ区間ですが、男子ならレースで走る40km/hは超えることを目標にしてください。

後半は42,44,46km/hと自分のスピードを高めてください。

じわじわ上げるのでは無く、一気に上げてください。瞬発力も強化できます。これは、コーナーの立ち上がりで効果を感じることができます。

上げる時は、ペダリング30回転を数えるとだいたい15″くらいです。ケイデンス120rpmくらいになります。

レース時はおそらくケイデンス100〜110で推移すると思います。

レース時よりも速く重いギヤを回してトップスピードを高めておくことで、レース時にゆとりを感じられます。さらにドラフティングに入ると空気抵抗が減るのでかなりラクになります。体力を温存することができます。

このトレーニングでは、たった20km約36’ですが、心拍はかなり高い数値を維持することになります。

上げ区間で上がった心拍は、回復区間でも下がりません。回復区間ではギヤを軽くして速度を落として筋力を上手く休めてください。メリハリです。しかし、心拍数はゆるやかに下がって来ますが、すぐに次のインターバルが始まります。

これがミソです。

インターバルは、筋力を強化しつつ心肺機能を高めるトレーニングです。

だらだらとロングライドを70kmするよりも20kmインターバルした方が、短時間で実戦的な能力が身につきます。

 
 

インターバル前のアップ、ダウン

例えば、自宅から周回コースまで移動することをアップとダウンにすることができれば無駄な時間はありません。

私は、
自宅→周回コースまで約5km
周回コース10km×2をインターバル2分サークルで
周回コース→自宅約5km
合計30km52分で終了

その後、自宅にバイクを置いてすぐにラン練習に移行、、、という具合に無駄な時間をつくらないように工夫できます。

 
 

固定ローラーの活用

バイク練習は、ランやスイムと違って自宅の中で練習することも可能です。

固定ローラーは飽きるし嫌い、、という選手はいます。

しかし、目的をしっかり持って短時間で意味のあることだけをやるようにすれば考えは変わると思います。

先ほどのインターバルを固定ローラーでやります。

私が最近やった練習の例です。

アップ5′
1’サークル15″全力×20本=20′
ダウン5′
合計30′

これはキツかったですがとても効果的なトレーニングです!!先ほど紹介した4人ローテーション15″交代のイメージです。

心拍数はだんだん上がり、終盤は90%を超えます。

バイクレースのタイムトライアル10km
平均心拍89%、最高心拍91%
なので、これに近いトレーニングができているとわかります。

屋内では風を受けないので、ものすごく汗をかきます。タオルを何枚か準備して、扇風機を使うことをおすすめします。

安全に、練習場所を移動することなく、短時間で効果的な練習です。

多忙なジュニア選手だけでなく、大学生や社会人トライアスリートにもおすすめの練習です。

 
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バイクとランの複合練習

ブリックトレーニングとも呼びます。
トライアスロンを目標にする場合は、バイク→ランが一般的です。デュアスロンも視野に入れるならラン→バイクもやる必要があります。

主観的な感想ですが、トライアスロンよりもデュアスロンの方がハードだと思います。

バイク+ラン練習の参考
 
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まとめ

若い選手は、バイクに苦手意識を持っている人が多いです。また、女性トライアスリートにとってもバイクは難しい種目のようです。

サイクリング主体のバイクショップの練習会に時々参加しても目的が違うので、ロングライドであることが多いと思います。自転車仲間とのコミュニティとしてはとても良いことだと思いますが、トライアスリートとしてはあまり得ることは無いかもしれません。

ドラフティングレースでは、ショートのDHバーを装着することになります。(好みとタイプにもよりますが、DHバー装着は多数派です。)当然、商品知識はあるでしょうが実戦での使用経験やセッティング方法、ショートDHバーを装着した際のポジションの出し方やアドバイスは得られないかもしれません。

バイクショップのチームにも色々レベルがありますので一概には言えません。実業団登録をしてE1クラスでがんばっているようなバイクショップであれば、積極的に参加してロード専門の選手たちに色々教えてもらう機会があると思います。

話は戻って、本来やるべきことは、バイクに乗る習慣をつけること、毎日短時間でもバイクに乗ることです。1日20分、30分乗るだけでバイクの筋力維持強化、ペダリングスキルの向上が期待できます。

バイクのレベルが低い人ほど即効性があります。レベルが上がってくると乗る距離や強度も必要になります。

固定ローラーを持っていない人は、購入を検討してみてはいかがでしょうか。

地方で活動する選手でも、工夫次第でやれるはずです。自分の周りの人たちの支援を受け、環境を最大限に利用して、自分だけのスタイルを確立すれば良いと思います。

生活の中に、如何にトライアスロン3種目を組み込むかが課題です。

固定ローラーにもグレードがあります。この下から2番目のタイプが価格と機能のバランスがとれているのでおすすめです。箕浦は日本製で静粛性が高いのも魅力です。負荷(重さ)も充分です。

私はこのタイプを使用しています。上の商品との違いは、フライホイールが重く、平地を走っているような慣性を得られることです。しかし、慣性を得るまで回転を上げると騒音もそれなりになるので、実際は負荷を高めて重くして軽いギヤで回しています。速度は遅いけど重い状態です。坂を登っているイメージです。低速では慣性は働きません。ですので、私の使い方では上の商品で充分でした。

 
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