部活動の先生に、あと○ヶ月である記録を出さないと部活をクビにすると言われた話

twitterのDMから受けた相談から

クビにすると言われたことに対するクレーム相談ではなく、後○ヶ月である記録を出したいです。どうすれば良いですか?と言う相談でした。

私からすれば、その期間でその記録を更新することは厳しいと思いました。それができるなら、最初からその練習をすれば良いですし他のみんなもその練習をします。

陸上競技にそんな都合の良い練習があるはずがありません。

陸上競技は、とても地味な競技で毎日の地道な積み重ねをコツコツと、人知れず行うことで少しずつ自分の力をつけていくものです。

例えるならば、紙を1枚1枚積み重ねていく作業です。薄い紙も束になれば重くなりますし高く積み上がります。それを一度に高いところまで積み上げる分厚い紙があるのでしょうか?それはもう紙ではなく何か違う物体です。陸上競技のトレーニングで積み上げるものとは違います。それがドーピングなのかもしれませんね。
 
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公立高校と私立高校における活動の目的

公立高校は、学校教育の一環です。部活動を通じて先輩後輩の上下関係を学び、学生たちが共に汗を流し切磋琢磨することで、努力をすればその分の成果が得られることを経験し、自分の得て不得手やレベルを部活動という集団の中で感じ取り、集団の中での自分の位置づけや役割を体感することができます。

生徒に学んで欲しいのは、目標を明確に定めてその目標のために日々努力を積み重ねて、自分の実力を高めていく過程とその結果です。すべての人が自分の決めた目標を達成できるとは限りません。目標を高く設定しすぎた場合や自分の努力が足りなかった場合は目標を達成することはできません。そこで反省して次に活かすことも大切です。部活動はこれらを経験できるとても貴重な活動です。実際、社会人になったときに学生時代に部活動を一生懸命やっていた人と、そうでない人では社会人としてのスタートラインが違っています。何百人もの新卒者を新人研修で見てきた私の経験です。

私立学校の部活動の目的は、学校の売名行為であり宣伝です。言い方は少々キツイですが、これが学校側大人側の本当の理由です。多くの生徒を集めるためにはいくつもの部活動で、都道府県トップまたは全国常連を維持する活躍をする必要があります。学生側からすると、先の公立高校での部活動に求める内容を、部活動を通して経験することはできますが、私立と言う特性上、学費免除等の特待生で入学している生徒はそうではありません。学費免除の特待生は、結果が出せなければ学費免除を外されたり部活動をクビになることもあり得ます。商売とはそういうものです。お金にならない商品(学生)にお金を払う理由はありません。
 
 

公立高校と私立高校の部活動顧問の違い

公立高校の部活動の顧問はその学校の先生が担当します。法律による強制力はなく、ボランティア活動です。時給に換算すると約200円だそうです。公立高校の部活動は良い先生が顧問になるかどうか、転勤するかしないかは運です。学生が自分から選ぶことはできません。

一方、私立高校の部活動の顧問は、その学校の先生ではありますが、部活動の顧問を担当する前提で採用されている方が大半だと思います。少なくとも私の周りの私立高校の先生をしている友人•知人たちはそう言っています。彼らは、学生時代から全国大会で活躍していたレベルです。世界陸上や、オリンピックに出場経験のある先生方もいます。当然、その学校には都道府県内から強い選手たちが集まってきます。

母校の私立高校OBOGであることが多いですが、時々他の私立高校の先生になっている場合もあります。本当は自分の母校の先生になりたかったそうですが、先生の定員の問題で自分の入るポストがないとのことで、他の私立高校教員の採用試験を受験したと聞きました。当然、陸上部の顧問をすると言う前提での採用です。このあたりが公立高校と私立高校の先生の大きく違うところです。学生は先生を選ぶことができるのです。

部活動は、公立高校の先生は完全なボランティア、私立高校の先生は採用の条件に含まれる仕事としてやっているという違いがあります。私立高校の先生の給与は公にはされていませんが、そういった部活動の面倒を見ることも含まれた額になっていることが予想されます。
 
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学校に関する法律

学校教育法

文部科学省ホームページ、小中高等学校

一通り目を通しました。部活動に関する具体的な記述がありませんでした。学校教育法に部活動の記載がないと言う事はそれを噛み砕く訓令や達にその記載をすることができませんし、校則に部活動に関する記述を設けるとなると、その学校独自のものになります。顧問だけでなく、その学校に所属する先生全てが同じ認識になっているはずです。もちろん校長先生も。
 

 

部活動で一定のレベルに満たない生徒をクビにすることができるのか?

そのことが校則に明確に記載されているならば可能だと思います。そしてそのことは校長先生もご承知のはずです。

しかし、校則にそのような記述があるのでしょうか?おそらくないでしょう。そういったことを言っているのはその部活動の顧問の先生の独断だと考えられます。そのことを校長先生は把握していないと考えられます。そしてその事実を知った時、校長先生はどう思うのでしょうか?都道府県教育委員会はどのような見解を示すのでしょうか?

私の結論としては、中学生高校生の部活動においては一定のレベルに満たない生徒をクビにすることはできないと考えます。中学生は義務教育でありその義務教育の一環で行う部活動です。高校生は義務教育では無いにしろ教育の一環としての活動ですのでレベルに応じて切り捨てるような社会人的な発想はまだ早すぎると考えます。

もし、部活の顧問からクビの勧告を受けている生徒さんがいましたら、校長先生に相談してみてください。校長先生がどのようにおっしゃるか聞いてみてください。その上で都道府県の教育委員会に報告してみると良いでしょう。

都道府県の教育委員会は、先生方の集まりです。数年単位で人事異動をして教育現場と教育委員会の先生方を入れ替えています。教育委員会は、都道府県内の小中高校で均一な教育環境を整えて、問題や不具合を解決していく仕事をしています。いじめの調査や再発防止策を立案したりもします。

学生にとっては部活動はとても大きなウエイトを占める活動ですが、先生方や教育委員会からすれば、部活動は先生方の仕事ではなくボランティアなので微妙な位置付けにあります。部活動が学生に与える良い影響は認めているはずですが、現在の学校制度と上手く噛み合っていないのが現状だと思います。

 
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もしクビにすると言われた場合、自分の取り組み方は正しかったのか振り返ってください。

校長先生に相談する前に、ご自分の部活動に対する取り組み方は正しかったのかどうかも振り返ってみてください。部活動に参加しないことが多くなかったか?週に何回もサボっていなかったか?部活動中の練習に対する取り組み方は一生懸命やっていたか?これらに該当している場合は、先生に部活をやめなさいと言われてもそれはあなたの責任もあります。その場合は、あなたは部活動をやめさせられても文句を言える立場ではありません。一生懸命陸上競技に取り組んでいる人たちの中で、部活動をサボる人が一人でもいると目障りですし迷惑です。その様な人は、進んで部活動をやめるか、行動を改めるべきです。
 
 

まとめ

人間は一人一人の身体能力や学力が異なります。中学高校の部活動で、一定レベルに満たないことを理由に部活動をクビにする事はあってはならないことだと私は考えています。レベルが低い人にはどのような指導が合うのか、顧問やコーチはしっかりと考えてその人に合った運動処方をするべきです。レベルが低いなりにレベルが向上したときにその学生は充実感や達成感を覚えるでしょうし、それがきっかけになって自ら色々なことを学んだり取り組んだりする自主性が生まれるかもしれません。小さな成功体験をさせてあげることも部活動の大きな意義であると私は考えます。

社会に出れば、嫌でも能力によって仕事を解雇されたり仕事を与えられなかったりします。中学生高校生は、もう数年も経てば社会人になります。学生のうちは、広い心で子供たちを見守りチャンスを与えてあげることが大人の役割ではないでしょうか?

学校の先生の大半は、大学を卒業して数年のうちに教員採用試験に合格し正式に学校の先生になっています。1年目で合格する人はほんのわずかですが、1年目に不合格でも講師として働くことができます。講師としても部活動の顧問のサポートして活動もすることができます。と言う事は、学校の先生方は民間企業での仕事の経験がない方がほとんどです。自らの業績にノルマが課せられてノルマを達成しなかったときに給料を削られたり降格させられたりするということを経験していません。

そういった先生方は、社会は厳しいぞと言うことを言う資格はあまりないように思います。言えるのは、自分がやってきた先生の仕事のことだけに限られると思います。

そんな方々が、部活動で一定レベルに満たない学生をクビにして良いものでしょうか?

その学校の教職員全員が共通認識を持ち、校長先生もその部活動顧問の指導方針を承認しているならば話は別です。その学校はそういう学校だということです。

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