レース中の中だるみを上手にしてタイムを上げる方法

レース中の中だるみの原因

中長距離のどの距離でも中だるみは起きる可能性があります。

考えられる原因
1 速すぎる入り、無謀な突っ込み
(1)ペース感覚が未熟
誰かについて行くだけのレース展開は運任せと同じです。自分でもペースを刻めるように普段の練習時もペース感覚を養いましょう。

(2)自分の実力を過大評価
実力と目標が伴っていない場合です。前向きな強い気持ちはとても大切ですが、自分の力を適切に評価しないとオーバーペースに陥ります。

2 気持ちのコントロール不足
キツくなった時に弱気になってしまう場合です。目の前にちょうど良い選手がいればなんとか耐えられても、自分一人でペースを刻めない人が陥りやすいです。練習時、集団の場合と一人の場合で課題を作って、単独走でもある程度のペースを維持できるように練習することが大切です。

3 単なる練習不足
トレーニングが不十分な状態ではベストを出した時と同じペースで前半戦走ったとしても後半は持ちません。

 
 

レース中の中だるみは悪いことでは無い

実力を適正評価して無謀な入りをしないことが大切です。中だるみは決して悪いことではありません。極端に落ちてそのままズルズルと落ちて行くのは良くありませんが。一旦ペースが少し落ちるけどラストスパートでしっかり切り替えて、最後まで出し切ることが出来ればタイムは上がる可能性もあります。

その為にも自分のレース展開を想定しておくことが大切です。目標タイムと平均ペースを考えて、それを各距離でペース配分を振り分けてみてください。

そして、それをイメージトレーニングで頭の中で反復しておきます。可能な限り、動的イメージトレーニングでインターバル等の練習で試してください。

(3000m対策)
1000m×3、2000m+2000m

(5000m対策)
1000m×5、1000m+2000m+2000m

静的•動的イメージトレーニングを詳しく見る。

 
スポンサーリンク
 

予定のペースを設定する

速い場合、適度な場合、遅い場合
3通りの想定をしておきます。後はタイムの幅はありますが、考え方はどれかに当てはまります。

それでは、5000m目標20’00″、平均ペース4’00″の場合で説明します。

【入りが速い場合】
3’45-4’00-4’07-4’08-4’00(20’00”)
3’45-4’00-4’10-4’10-3’55(20’00”)

【適度な場合】
3’55-4’00-4’02-4’03-4’00(20’00”)
3’55-4’00-4’04-4’06-3’55(20’00”)

【入りが遅い場合】
4’05-4’00-4’00-4’00-3’55(20’00”)
4’10-4’05-4’00-3’55-3’50(20’00”)
 
 

【入りが速い場合】
3’45-4’00-4’07-4’08-4’00(20’00”)
3’45-4’00-4’10-4’10-3’55(20’00”)
予定よりも突っ込んでしまった場合です。ここで焦らずに、後半の貯金が出来たと考えましょう。速かった分、後半にキツイ場面が出てきます。

入り1000mで10秒速かった時、突っ込んだ10秒を落ちた区間に振り分けるつもりで、リズミカルにピッチを維持してペースダウンを最小限に抑えます。

5000mなら2000m以降は元々の設定ペースに戻します。ここで最初に速かった10秒落とすと自分で揺さぶりをかける結果となり、ペースがめちゃくちゃになる可能性があります。

3000m以降は落ちて来たら、一時的に脚を休めるつもりで。気持ちは絶対に切らさずに。抜かれたら上手くその人の流れに乗りましょう。離されても一気に離れずにじわじわと少しずつ離される感じです。ついさっきまで一緒に走っていたのだから、その人もキツいはずです。

ラスト1000mで思い切って動作を切り替えてください。スパートして最後まで力を出し切ります。ラスト100mタレても構わないので出し切ってください。
 
スポンサーリンク
 

【適度な場合】
3’55-4’00-4’02-4’03-4’00(20’00”)
3’55-4’00-4’04-4’06-3’55(20’00”)
入り1000mは筋肉中のクレアチンリン酸をエネルギー源とする為、出だしは呼吸の苦しさは一切無く身体が軽いです。入りは平均より5秒速くても問題ありません。

中長距離走のエネルギー供給系の説明を詳しく見る。

最初に貯金が5秒できるので、それを中だるみに使っても良いと考えます。

2000〜4000mで少し落ちても大丈夫です。ピッチを維持して脚は無理せずに、ラストに備えます。ここで貯金以上に5秒余計に中だるみしても、ラストスパートでその5秒を取り返すつもりで気持ちは切らさないようにします。

4000mのLAPは4’06″、そこから動きを切り替えて10秒ペースアップするつもりでラストスパートです!目の前にバテてスパートできない選手がいれば50mくらい先の選手を目標に抜き続けます。目に見える目標が近づいてくると力も湧いてきます。
 
 

【入りが遅い場合】
4’05-4’00-4’00-4’00-3’55(20’00”)
4’10-4’05-4’00-3’55-3’50(20’00”)
1周目で気づけば良いのですが、1000mで通過タイムを確認するまで気づかなかった場合は、慌てないでください。

そこから一気にスピードアップすると無駄に疲れてしまうので、じわじわとペースを上げてください。余力はあるので苦しさは無いはずです。2000m通過までなペースを戻せるなら戻して、厳しそうなら3000m通過までにじわじわと上げます。

そこから、引き続きペースを上げ続けてください。最初に余力の貯金があるので大丈夫です。ビルドアップします。

前半に突っ込んで落ちてくる選手たちが何人もいるはずです。50m前、100m前の背中もだんだん近づいて来ます。何人か前の選手を目標にして、抜きながら次の目標となる選手を決めて抜き続けます。

ラスト1000mは一気に切り替えてスパートします。こちらは上げ続けているので、その時に周りにいる選手たちより勢いがあります。50m先(4’00″ペースなら50m12″)の選手を抜くつもりでラストスパートしてください。
 
 

上手に中だるみをする方法

レースで少し中だるみしても大丈夫です。そこで気持ちを切らさない事、ラストスパートでもう一回スピードアップすることが出来れば何秒も取り返すことが可能です。

中だるみを上手く最小限に抑えてラストまた上げれば良いのです。その為の方法と考え方を紹介します。

ペースダウンしそうになったら、
(フォーム維持の技術)
走るピッチをそのまま維持ことを意識する。
筋力に任せてストライドを伸ばす事はせずに、逆にストライドを少し縮めることで、筋肉の負担を減らして走るリズムを維持するように考える。
腕振りでリズムを取ることで脚を連動させて動かす。

(メンタルコントロール)
自分がキツくなった時は、周りの選手たちも同じくらいの実力なんだから同様にガマンしていると考える。
絶対に気持ちを切らさない。
足元を見ない、下を向かない。下を向くと蛇行してロスする。
自分のひとり前の選手では無く、何人か前の選手の背中、または直線の終わり、コーナーの出口を見る。
目線は遠くに。
口角を上げて笑顔をつくることで脳を錯覚させる。
笑顔で発生する脳内のホルモンを詳しく見る。

 
 

具体的な中だるみの数字

3cmストライドを短くした場合

例えば、5000mでストライド180cmなら400mで約220歩なので、約6.6mの遅れです。
170cmで235歩→約7.0m遅れ
160cmで250歩→約7.5m遅れ

歩数は分かりやすく説明する為の概算です。当然ですが、個人差があります。
速いスピードで走れる人は歩数は減りますし、遅い人は歩数増えます。
さらに、女子選手は小柄なので歩数が多くなります。

ストライド180cmの場合で3cm短くしたら、
400mLAP80″なら1″3で1000mでは約3″3のペースダウンです。
LAP72″なら1″2で1000mでは約3″0のペースダウンです。

実際は、レース後半のペースダウン時はピッチも落ちやすいです。そのペースダウンを最小限に抑えるために、ピッチを維持する意識をする方が、ストライドを維持するよりも有効です。

練習で試してみてください。
 
スポンサーリンク
 
 

ラストスパート

なかだるみを上手くして、ラストは動きを切り替えてしっかりスパートすることでタイムを戻すことが可能になります。

ラストスパート時の意識の方法

 
 

まとめ

いかがでしたか?

レベルが高くなればなるほどペース感覚も磨かれて、オーバーペースで突っ込む選手は少ないです。限界のスピードとレースペースがだんだん近づいて来ますので。感覚もシビアになり微調整できるようになります。

しかし、初心者やレベルが低い選手ほど、自分が走っているペースをわかっていませんし、ペース感覚も未熟です。ストップウォッチ付きの腕時計をせずに感覚で走ったり、適当に走っている人がよく見られます。

レベルが高くてペース感覚が身についている選手がそれをやるのとは意味が違います。

まずは自分のペースを把握することが大前提です。

そして、自分が目指すべきペース配分を考えておくことも大切です。持ち味のタイプによって得意な展開がありますので、こちらを参考にしてください。

事が起きてから対処するのでは無く、しっかりと練習しておくこと、イメージトレーニングもしておくことが大切です。

毎日の練習でペース感覚は養われます。
ストップウォッチ付きの腕時計でラップタイムやペースを確認することは悪いことではありません。苦手な人は面倒がらずに練習時にラップタイムを確認しましょう。





スポーツウェアAmazon