ダウンの目的は?
クーリングダウンは、運動時の交感神経優位の状態から、副交感神経優位の状態へスムーズに切り替えるためのステップです。激しい運動は、心身ともに興奮状態にあるので、それを沈静化させます
ダウンの目的は、筋肉中と血中の乳酸濃度を下げること、心拍数を平時に戻すときにゆるやかに戻していくことだと考えます。
低い運動強度で、乳酸の産生を最小限に抑えて血中乳酸濃度を下げたいので、酸素を身体全体に供給させることで乳酸の利用を促進して、乳酸濃度を下げることです。
また、乳酸濃度を低く抑えるためには、ペースはゆっくりになりますし、心拍数70%を下回るジョギングでは有酸素運動のトレーニングとしては非効率的になります。
だから長時間ダウンjogをしても、非効率的な持久力強化になりますので、長くする意味は無いと考えています。
では、一体どれだくらいの時間が最低限必要になるのでしょうか?
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クーリングダウンの時間と血中乳酸濃度の測定実験結果
早稲田大学の学生さんの研究結果を引用させていただきます。
→ダウン時間と血中乳酸濃度の推移グラフ
グラフは、スピードスケート全力運動後の血中乳酸濃度と、ダウンにかけた時間推移です。ダウンの方法はジョギングとエアロバイクの2種類です。
グラフを読み取ると、20分後にはどちらの運動も、運動前の血中乳酸濃度に近いレベルまで下がりました。私は、ここでダウン終了しても良いと考えます。
全力運動の場合で20分なので、運動強度が全力より低い時は、血中乳酸濃度も低くなるのでダウンに必要な時間は短くて済むと考えます。
激しい運動ほど、血中乳酸濃度は高まりますし、その強度が低い場合は血中乳酸濃度は低くなります。グラフなら、全力後のダウンをしている何分後かの状態の値になるということです。
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全力運動以外のダウン時間は?
運動強度が下がれば、必要な時間は15分、10分、5分、ダウン不要という具合に短くなっていきます。
専門の大学での研究では実験として可能でしょうが、毎回血中乳酸濃度を測定する訳にいきません。一般の現場的には、自分の【感覚】で時間を調整することになります。
具体的には、こんな感じになると思います。
インターバルやレペティション→15分〜10分
ペース走+インターバル、レペ(少なめ)→10〜5分
ペース走+流し→5分
jog→ダウン不要
私が作るメニューでは、ペース走の直後はそのまま1000mのjogをしてからその後休憩に入らせています。血中乳酸濃度を緩やかに下げさせるためです。10分〜15分後に、インターバルやレペを加えたセットの練習が主です。
インターバルかレペの最後の一本後は、インターバルの場合はつなぎと同じjogをさせます。レペの場合は、止まったり座ったりさせずに、スパイクを履いたままゴール後の流れでそのまま歩かせています。200m〜400mです。
練習の合間にもダウンと同じ目的で軽い運動を挟んでいます。これらはメニュー表には明記してありませんが、理由も付けて口頭で指示をしています。自分の練習時もそうしています。
このように、普段の練習では合間にもダウンを挟んでいますので、一番最後のダウン時間は5〜10分で充分だと考えています。
まとめ
運動強度によって、必要なダウン時間は異なります。ダウンで30〜60分jogする長距離選手を見かけますが、それはダウンではありません。
持久力を高める目的のjogなら心拍70%前後が効率的です。通常、ダウンで走るペースはとても遅いものです。心肺機能を高める効果はほとんど無いと考えても良いでしょう。
きちんと目的と効果、意味を理解して【走る】必要があります。
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