質は量を生む。
量は質を生まない。
スピードを出せる人が長い距離も効率的に走るフォームを備えています。持久力はまた別の話です。
長い距離をだらだら走っても速くなりません。長距離を遅く走れる強い身体ができあがるだけです。
おすすめできるのは、フルマラソンより長い超長距離の大会に出る人、トライアスロンのスタンダードディスタンス51.5km以上の距離(2時間以上かかる距離)に出る人、それからランニング初心者です。また、長期休養後に練習再開する選手にも有効です。
→フルマラソン以上の距離を目指す人向けの補給を伴うLSDを詳しく見る。
LSDオススメしない理由。
LSDは有名な練習方法の一つです。しかし、レベルが上がるほど必要性は無くなってくると私は考えています。速くなるためには、自分のレベルに合った必要最小限の心拍数の割合が重要なことは今では常識です。運動生理学を無視したトレーニングでレベルアップは難しいです。
運動習慣がある人は心拍60〜65%のペースが回復日で走るペースになります。これが最も遅いトレーニングのペースだと考えるべきです。そして、それはそんなに遅いペースではありません。
例えば、5000mのタイム別の回復jogのペースは、
15’00″の選手で4’41〜4’21
17’00″の選手で5’18〜4’56
19’00″の選手で5’55〜5’31
21’00″の選手で6’33〜6’06
これくらいになります。
→ペース一覧表で他のタイムも見る。
私は、心拍60%未満の割合で走るペースをLSDとして考えています。心肺機能の直接的な向上を期待せずに、脚関節組織の強化及び毛細血管の発達促進、気分転換を目的にしたものです。
LSDと練習の最後に行うクーリングダウンのjogは目的が違う。
練習の一番最後に行うダウンjogは遅くても構いません。心肺機能の能力を高める目的ではありません。ダウンは、血中の乳酸濃度をなるべく早く下げて疲労回復に努める目的です。また、交感神経優位で興奮している心身を鎮めるものです。ダウンの最後にストレッチを強めに行うことで副交感神経が優位になり、成長ホルモンの分泌を促してより効果的な回復につなげます。
時々、勘違いしてダウンjogで30分〜1時間を走る長距離選手を見かけますが、目的を理解していません。ダウンjogは必要以上に長時間する必要は全くありません。5分〜10分で充分です。全力運動直後のダウンでも20分あれば運動前の水準に血中乳酸濃度は下がります。
→疲労の要素に関する記事を詳しく見る。
動きは習慣化する→遅い動きに慣れると速く走りにくくなる。
ダウンjogやLSDのような、遅い動きに慣れてしまうと走るのが遅くなります。速い動作がしにくくなります。
ダウンで距離をプラスしたいくらいに距離を走る必要があるなら、それは朝練習で走るべきです。私ならそうします。朝のエネルギーが減っている状態で、水分だけ補給して、jogすることでミトコンドリアが増加しやすくなり、エネルギー効率上がりやすくなります。朝は身体は動きにくい時間帯ですが、空腹時のメリットがあります。高強度の練習は厳しいですが、基本的なjogと流しなら問題ありません。
LSDをおすすめする人
運動を始めたばかりの人や長期の故障明けで練習を再開する人にとっては、LSDは大切なトレーニングの一つになります。
初心者やランニング導入者は、膝、股関節、足首などランニングの接地衝撃に耐えるための脚の各関節組織の耐性が不足しています。ゆっくり走ることで軽めの刺激を関節組織に与えることになります。その結果、関節組織が鍛えられてケガの予防になります。これは筋トレでは鍛えられませんので、計画的にLSDを行うことで怪我を予防できます。
まとめ
トラックレースを専門にしている選手でも、週に一度のLSDは筋力を休めて気分転換にもなるので有効な練習です。
しかし、楽な練習だからと言ってそればかりやっていては競技レベルはアップしません。行う回数はできるだけ減らすべきです。運動が習慣化している選手にとっては無くても良いくらいです。
一方、趣味でスローなランニングを楽しむ方も近年は増えています。
陸上競技と趣味のスローランニングは違います。
身体能力の向上、タイムを短縮することを目指しているのであれば、LSDの頻度は少なくするべきです。
時と場合によって、しっかりと使い分けて、純粋に走ることを楽しむLSDをトレーニングの一部として計画的に組み込むことで、心身のリフレッシュをして、トレーニング全体のバランスを取ることも可能です。
計画的に、時には柔軟に、陸上競技を、そして走ることを楽しみましょう!
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