脚が流れるのにはいくつか原因があります。考えられるものをいくつか改善方法も含めて紹介します。
①筋力不足
②骨盤の後傾、棒立ち
③接地時に強く蹴る動作
④大き過ぎるストライド
⑤大き過ぎる腕振り
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①ハムストリング、臀部の筋力不足
走り始めたばかりの人に見られる症状です。根本的なランニングフォーム自体をわかっていないので、蹴る動作ばかりに気を取られている人がなりやすいです。
速く走ろうとするあまり、大き過ぎるストライドで走ることで脚が流れます。
ピッチを速める意識をすると良いでしょう。また、走るための筋力がついてくれば改善されると考えられます。
プライオメトリックのトレーニングを少し取り入れることをおすすめします!
→プライオメトリック(瞬発的筋力発揮)について詳しく見る。
脚の速いターンオーバーには骨盤の前傾も必要です。背筋を伸ばした正しい姿勢も身につける必要があります。具体的な理由は後の項目で説明します。
②骨盤の後傾または上体の棒立ち。
日本人は、海外の人種に比べると骨盤が後傾していると言われます。
特にランニング初心者は、骨盤と言われてもピンと来ない人が多いです。日常生活ではあまり意識しない部位かもしれません。
腰という漢字は、月に要と書きます。月は人間の体を指しており、体の要だということです。そして、ランニングの要でもあります。
骨盤とは腰の骨で一番大きなものです。左右の腸骨から成り、お尻の一番下には仙骨という骨があります。仙骨から上は腰の腰椎5個、背中の胸椎12個、そして首の頚椎7個の計24個(→通称背骨)とつながっています。
骨盤が後傾または真っ直ぐ立っていると、重心位置が進行方向に対して後ろに位置します。横から見ると、腰抜けの状態や猫背に見えます。反り返るような人もいます。これらが後傾です。
後傾だと、重心移動で推進力を得る事ができません。また、ハムストリングと臀部を効率的に使えません。その結果、前ももとふくらはぎに頼る走り方になりやすいです。ふくらはぎに頼る走り方は、地面を蹴ることになります。アキレス腱に負担がかかりやすいです。つま先まで地面を蹴る動作になるので、足首が過度に伸展します。そうなると脚が流れます。
改善するためには、骨盤を前傾させることです。骨盤の前傾で腰椎胸椎頚椎も連動して、背中に適度なアーチができます。胸が張れるので猫背じゃなくなります。そうすることで、肩甲骨の可動域が広がります。その結果、腕振りもスムーズになります。
また、骨盤を前傾させることで腸腰筋の【伸張反射】が起きやすくなります。伸張反射とは、筋肉が引き伸ばされた時にその反射で収縮するものです。接地後に地面を押して、離地後に素早く膝を前に出す動作につながります。
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③接地時に強く地面を蹴らない。
接地時に、強く長く地面を蹴ると足首が伸展し過ぎてしまい、その結果脚が流れます。ストライドをかせごうとする人が陥りやすい走り方です。
ふくらはぎをメインに使うとこうなります。身体の末端に近い筋肉は小さい筋群なので、一時的な素早い動作には適していますが、連続した強い動作をすると疲れやすいです。
走るとふくらはぎがすぐ疲れる人や、攣りやすい人はこの走り方になっている可能性が高いです。アキレス腱を痛めやすい走り方だと思います。
→アキレス腱の痛み
改善方法は、接地の意識を変えることです。強く蹴り込むのではなく、地面の良い位置に足を置くイメージです。地面を蹴るのではなく、地面からの反発力を足首の角度を変えずにブロックして跳ね返すイメージです。その結果、足首は適度に伸展すると思います。足を置く良い位置とは、重心の真下のことです。
④大き過ぎるストライドで走っている。
自分の最大ストライドよりも縮めてコンパクトに走るイメージです。
感覚的な例えですが、
400mでは10%、800mでは15%、1500mでは20%、長距離では25%〜縮めます。
ストライドを欲張って足を遠く前に振り出すと、重心より前に接地することになります。そうなると、つま先接地だろうが、踵接地だろうが、ブレーキ要素にしかなりません。
その結果、接地時間が長くなって足が地面からなかなか離れません。重心より前に接地した事で、地面からもらう反発力はブレーキとなって自分の筋力で支える事で打ち消してしまいます。だから、離地の時はふくらはぎとアキレス腱で蹴り込むことになります。そうしないと前に進みません。その結果、脚が流れてターンオーバーも遅れて、それを取り戻すためにまたストライドを伸ばそうとしてしまいます。悪循環です。
改善方法は、ストライドを少し狭くして重心の真下に足を置くイメージです。スネの骨が垂直に立つように意識してください。そして、地面を蹴るのではなく、地面からの反発力を足首の角度を変えずにブロックして跳ね返すイメージです。
⑤大き過ぎる腕振り
後ろに大きく振るのは問題無いのですが、前に大きく振るのは無駄な動作です。
肘に着目してください。
腕振りは、肘の角度が90度前後で動作リズムに同調して自然に開閉するのがベストだと考えています。
この肘が、腕振りが最大に前に出た時がどこまで出ていますか?
前後に大き過ぎる腕振りは、前に出た最大の時に肘が身体を越えて胸の前まで振り切っているものです。ここまで振ると力強いフォームに見えるのですが、脚が流れてしまいます。
腕と脚は連動しています。
肘と膝が同調しています。
足(シューズの部分)と手のひらは同調します。
太もも(ハムストリング)と前腕(力こぶ)は同調します。
腕を前に大きく振ると、同側の脚が後ろに大きく流れます。
肘を後ろに引くと、同側の膝が前に出ます。
イメージできましたか?実際に走りながら極端に動作してみて確認してください。
以上の話を踏まえて、私が考える正解は、【肘は身体を越えてはいけない】です。
腕振りで前に振る時に、肘を前に出さずにブロックすると、その瞬間に同側の足が接地していますので、グッと足首がブロックされます。その時に地面からの反発力をもらって推進力に変えます。重心の真下に接地していることが前提です。
同時に、反対の肘を大きく後ろに引くとこで、反射動作で反対脚の膝が前に出ます。
この時に、骨盤の前傾をしっかり意識できていれば、腸腰筋の伸張反射によってスムーズに膝が前に送り出されます。
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まとめ
5つの原因とその対策を紹介しましたが、1つ悪いところがあると関連して良くない動作がつながってしまいます。負のスパイラルです。
もし、自分のランニングフォームが脚が流れているのなら、自分に一番当てはまるものを改善するように努力すれば良いと思います。
ポイントは、骨盤の前傾と接地の位置、地面を蹴らないことです。そして腕振りは前に肘を出さないことです。
①〜⑤で意識するポイントは違いますが、目指すフォームは同じです。例えば、富士山の山頂を目指しているけど、どの道から登るか違うだけです。山頂に近づけばそれぞれの動作の関連が深くなってきます。
最初は1つの意識で練習を始めても、2つ、3つ、4つと最終的には全てを同時にやらなくてはいけません。
中長距離選手なら、100mを何本も反復するトレーニングでスピードと持久力の両方を鍛えつつ、技術を反復するトレーニング方法があります。
この練習の時に、一本一本意識するテーマを明確に決めて取り組んでください。その時は、タイムよりもフォームに重点をおいて取り組んでみてください。実戦的な動作を反復することで脳と身体に覚えさせてください。
→100mを反復するスピード強化のトレーニングを詳しく見る
最近は、スマホで手軽に動画チェックできるようになりました。仲間に何本か撮ってもらって、自分の意識の仕方を色々と変えてみて、一番しっくり来るものを探してみてください。
私の言葉と私の感覚で文章にしましたが、人が違えば例え方や感覚が異なります。自分なりに解釈して、自分が納得できる言葉で技術を整理して言葉にしてみてください。
それを練習日誌に書き留めておくと良いでしょう。感覚が悪い時や悩んだ時に、次のヒントを与えてくれるかもしれません。
→練習日誌は自己管理の原点を詳しく見る
ランニングフォームには個性が出ます。誰かの真似をしようと思っても体型や得意分野が違います。自分にはどんな走り方が合っているのかを考えてみてください。
→三大フォームの説明を詳しく見る
それから、フォームを修正する切り口はどこにでもあります。例えばアゴの意識ひとつで腕振りも変わります。
→ランニングフォーム、顎を意識するを詳しく見る。
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