ウォーミングアップの意味と方法


ウォーミングアップの方法を教えてください。

この質問が意外とよくあります。
ウォーミングアップの基本的な考え方と具体例を紹介します。

ウォーミングアップの意味

沈静化している体の状態から、激しい運動に備えて心と体を準備することです。人間の体には血液が流れており、その量は体重の約13分の1と言われています。約4リットル位です。

運動をしていない安静な状態では、血液は主に脳や消化吸収系の内臓に多く回っています。

逆に、激しい運動をしている時は脳や消化吸収系の内臓には血液があまり回らず、運動に使われる骨格筋に多く回るようになります。

ノーアップで、急激にダッシュをするとどうなりますか?

本来出せるべき力が出ないはずです。そして、走り終わった後はものすごく呼吸が乱れてしまいます。その原因は、骨格筋十分に血液が流れていない状態で激しい運動をしてしまったことによる酸素不足です。

血液の働きは、呼吸で取り込んだ酸素を血液中のヘモグロビンが体中に運ぶことです。有酸素運動では、酸素は筋肉の中にあるミトコンドリアによって消費されて大きなエネルギーとなって筋肉を動かす原動力になります。

また、運動によって発生した副産物の乳酸も血液中に流れ出てきます。運動による副産物、老廃物は血液やリンパ液に乗って体の中心である心臓に向かって再び流されます。血管リンパ管には弁が付いており、逆流することを防ぐ仕組みになっています。

血管には血液を流すためのポンプの働きをする心臓があります。心臓が拍動するたびに血液が押し出されてそれによって全身に血液がめぐり、最後にはまた心臓に還ってきます。これを私たちの体の中では無意識に行われています。

心臓は、意識し動かすことができない無意識下で動作する不随意筋です。

ウォーミングアップでは、軽くジョギングをすることで心臓を徐々に速く動かします。ジョギングをすることで骨格筋にこれから沢山の血液が必要になると言う事を脳に指令を出して、脳や消化器系に多く回っている血液を骨格筋に切り替えていきます。

安静にしているときは、副交感神経が優位になっており、その時は人体の生命維持を司る部分に多く血液が回されています。

そして、運動しているときは交感神経が優位になり、その時は運動に必要な骨格筋や呼吸器系に多く血液が回されることになります。

この交感神経と、副交感神経を切り替えるものがウォーミングアップであり、逆の切り替えがクーリングダウンでもあります。

この交感神経と副交感神経を総称して自律神経と呼びます。自律神経失調症と言う病気がありますが、その病気の方は夜なかなか眠れなかったり昼間ぼーっとしてしまったり、朝起きれなかったりします。また気持ちがとても不安定になるそうです。これは、交感神経と副交感神経が本来働くべき時に働かないことが原因です。
 
スポンサーリンク
 

ウォーミングアップの具体的な方法

動的ストレッチ
ジョギング約15’または3km
体操、軽めの静的ストレッチ
流し100m× 5本
体操、軽めの静的ストレッチ

日常の練習時においては、ポイント練習や基本的な練習のウォーミングアップはこれになります。
 
スポーツウェアAmazon


 

大会ウォーミングアップ

そして、大会においてもこのウォーミングアップが基本になります。

私は、800mから5,000mまでウォーミングアップは基本的にこれでやっていました。違う部分は、流しのスピードです。800mの時は100m 12秒台で流しを行い、5,000mの時は15秒程度で行っていました。これから走るレースのスピードに応じて走り方やフォームを確認しながら行うため、タイムに差が出てきます。

また、マイルリレーや400mのウォーミングアップでは、流しの後に150m × 1本をレースの入りまたは中間をイメージしてレースペースで走っていました。

さらに、冬場に参加することが多い駅伝やロードレースのウォーミングアップは、気温が低いこともあり20分から30分ジョギングすることもありました。冬場は1日の走り込む距離が長くなっているので、ウォーミングアップで多少長く走っても影響がありませんし、大会を練習として考えている場合が多いので、アップでも距離を走りレースでも距離を走り1日の合計を20kmにしたりしていました。距離を多く走る目的でアップをむやみに長くすることはおすすめしませんが、気温に合わせて少し伸ばす事は筋肉の温度を上げるために必要なことです。
 
スポンサーリンク
 

夏場と冬場のアップの違い

また、夏場と冬場の流しの違いは気温にあります。夏は暑いので流し1本1本の間は歩きでつないで時間を2分ぐらい取っていました。流しのスピードも速いので回復する時間も必要です。一方、冬場は気温が0度からヒトケタのことが多く流しの間を歩きでつなぐと体が冷えてしまうので、ゆっくりジョグでつないでリズミカルに流しを行います。駅伝やロードレースは距離が長いため、それを想定した流しを行うとペースも速くなりませんのでつなぎはjogでちょうど良いです。

このように、季節や気温走る種目の距離によってウォーミングアップの流しを変えて動作の確認フォームの確認をすることは重要だと思います。そして変えてはいけないのは、アップのjogのペースだと私は考えています。
 

 

年間を通してアップのjogのペースを変えない理由

それは心拍数で運動強度を決めているからです。私が考える、適切なウォーミングアップでの心拍数は最大心拍数の約70%です。これはどのレース、練習でも一定です。

実力が向上して、基礎的な持久力が終われば同じ70%でもペースは少しずつ速くなっていきます。その場合はペースを70%になるように上げてください。

基本jogや回復jog以外の時は、ウォーミングアップは必ず行いますし、毎回同じペースで同じリズムで走っているとその日の調子や感覚のズレがすぐにわかります。

大会前で緊張しているときは、自然とアップのペースが速くなることが多いです。その時は最初の1kmで早いなと確認できたならば、その後は落ち着いていつものペースに戻すことで自分自身をコントロールしていきます。大会当日の緊張感のある中でのウォーミングアップでも同じことができます。
 
スポーツウェアAmazon


 

クーリングダウンの適切な時間は?

全力運動後で約20分
全力じゃないなら5〜15分で充分です。

ダウンで超ゆっくり40分とか1時間走るのは持久力を鍛える効果はほとんどありません。

クーリングダウンの適切な時間

 
 

まとめ

ウォーミングアップの方法は、初めて陸上部に入ったときに顧問の先生に教えてもらうことが一般的だと思います。その時は理由もわからずに言われたことをやるだけだと思います。高校1年生で陸上始めた私もそうでした。

しかし、ウォーミングアップのメイン練習と同じように個人に合ったものがありますし、部員全員が同じペースでアップをする事はよくないことです。それではアップの意味があまりありません。

顧問や先輩から言われたことが全て正しいとは限りません。自分自身でやっていることの根拠となる理由を明確にして納得した上で自分で決めてアップやメイン練習、ダウンを行うこともとても大事なことです。

スポンサーリンク