中距離種目にとってのスピードとは何でしょうか?
私の考えは、ひとつ短い種目のスピードを超えるスピードで練習することです。
800mであれば400mより速いスピードが練習の基準になります。
1,500mが専門であればそれは800mになります。そのために、600m位の距離をしっかりと全力で走り切るスピードの出せるフォームが必要となってきます。
短距離専門の選手にとっては、トップスピードがスピード練習に当たると考えられます。具体的には100mや50mの加速走です。これらは、時間にすると10秒くらいなのでエネルギー供給系の説明でも解説した通りクレアチンリン酸を主に使う運動になります。
一方、800m選手にとってのスピードは、400mのスピードが基準になると考えますので、エネルギー供給系で説明するならホスファゲン系に当たります。時間にすると約40秒です。距離にすると300mが練習の基準になります。
800mに必要なスピードを、300mの全力走を行うことで身に付けるというのが私の考えです。
もちろん、他の意見もあるでしょう。1つの意見として参考にしていただければ幸いです。
スポンサーリンク
300mのスピード強化の意義
300mをしっかりと全力を出して走りきる技術が身に付くと400mの記録も向上します。逆に言うと、これができないと400mは遅いままです。スピードがないのではなくて、スピードの出し方がわからない選手も結構いると思います。
その原因のひとつは、長距離選手と一緒に長い距離を中心とした練習をすることで短い距離を練習する機会があまり無いことです。数日前の刺激で短い距離を走って大会だけ800mに出ているような選手です。
スピードが無い•苦手なのではなく、スピード練習をしていないことが原因で苦手意識を持ってしまい、取り組まなくなる悪循環だと思います。距離を走ることでの満足感や安心感が大きいからです。
400m記録向上の効果
400mの記録が向上すると、800mの入りの1周目にスピードの余裕ができてきますのでリラックスしたフォームリズミカルな走りができるようになってきます。
400mのスピードがない選手は、1周目の入りのスピードに限界があるため、早い展開になると硬い動きになりついていくのがやっとになり前半から余計な力を使うことになりますので、それが原因で途中で失速してしまいます。
理想は、400mのスピードは速ければ速いほど良いです。しかしながら、400mの記録がとても良い選手は800メートルを専門とせずに400mや200mを専門種目として取り組むことになると考えられます。
800m専門の選手としては400mをしっかり走りきれるスピードとスピード持久力が必要です。400mで全力を出し切れないようではいけません。
スポンサーリンク
具体的な練習メニュー
これから紹介するメニューは、各段階が1日のメイン練習です。各段階を週に1か2回を目安に練習に取り入れると良いです。ポイント練習として間を2日は開けて、超回復を意識します。週に1回の場合はもう1回のポイント練習をインターバルにするか、400〜600mのレペティションにするか、自分に合わせてアレンジしてください。翌週に、次の段階をポイント練習として組んでください。
週に2回やる場合は、次の段階をやると良いです。
それ以上はやり過ぎになりますので、オーバートレーニングに気をつけてください。
第一段階
100mを反復する基礎的スピード練習
100m×4×3
100m歩きつなぎ約2′
設定400mレースペースまたはそれより速く
第二段階
インターバルとレペの間のトレーニング
150m×6
250m歩きつなぎ+rest(約5′)
設定400mレースペースまたはそれより速く
第三段階
レペティション
200m×4〜5
10’rest
設定400mの前半または全力近く
第四段階
レペティション
300m×3
15’rest
設定は全力
これらをこなして、ベストタイムを何度も更新してスピードの出し方がわかってくると、レーススピードにゆとりが生まれます。今まで短い距離の練習をやらなかった人は、これをきっかけに飛躍的に800mの記録が伸びます。
その次の段階で、スピード持久力と持久力を高める練習に重点を置いて、スピード長く持続させるためのトレーニングをします。
スピード練習と合わせたジャンプ系補強
プライオメトリック、瞬発的な動作を行うことで筋肉に刺激を与えるとともに、効率的な身体操作を身につけます。
ハードルジャンプやバウンディングが効果的です。
アップで、縄跳びやハードルジャンプ、補強としてバウンディングを取り入れると良いでしょう。
これらジャンプ系の補強は、負担が大きいので疲労がひどい時には行わないようにしましょう。やり方を間違えると怪我をする原因にもなります。必要最小限の本数で実施しましょう。
強度が高い練習後は、必ず自宅でできる範囲のセルフケアを行って、疲労の早期回復と怪我の予防に努めましょう。
→自宅でできるセルフケア
スポンサーリンク
まとめ
中距離種目の800mでは、有酸素運動40%、無酸素運動60%が大まかな割合です。
長距離種目に比べて無酸素が多い分だけスピード練習をするべきです。
長距離ブロックに800m選手が入ることが多いと思いますが、週の1日は短距離選手と同じ練習をこなすこともひとつの方法だと思います。
中距離ブロックがあって、完全な中距離練習をしている部活動はほとんど無いと思います。
自分のタイプ、持ち味によって、部活動内やチーム内で上手く練習ができるように考えてみてください。
関連する他の記事
1500m専門の選手に必要なスピード練習
スポーツ用品通販サイト
amazonスポーツ