速筋と遅筋、その中間の筋肉について

筋繊維の分類

速筋、タイプIIb、白色、瞬発力、短時間で大きな力が出せます。

速筋(中間)、タイプIIa、ピンク色、瞬発力と持久力の中間

遅筋、タイプI、赤色、持久力、大きな力は出せないが長く運動継続できます。

この三種類に分類されます。

特に、遅筋は酸素を取り込むことでエネルギーを作り出しますので、貧血だと能力を発揮することはできません。
持久系アスリートと貧血の説明

エネルギー供給系と筋繊維の特性

速筋、中間、遅筋の能力とエネルギー供給系が一致すると考えられます。

速筋→クレアチンリン酸系、ホスファゲン系(瞬発力〜耐乳酸スピード)

速筋(中間)→ホスファゲン系、無気的解糖系(耐乳酸スピード〜耐乳酸持久力)

遅筋→有気的解糖系(持久力)

結局のところ、それぞれの筋繊維を増やしたい場合は、鍛えたい距離(運動時間)を鍛えたいスピードでトレーニングすることが必要になってきます。

エネルギー供給系の詳しい説明

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私の体験談と他の選手の例

私が見てきた陸上選手たちや自分自身を考えて見ても、持って生まれた特性はほとんど変化しないと思います。

それよりも、本人の目標や意識、技術的要素がパフォーマンスに大きく関わっています。

トレーニングによって速筋、遅筋の割合がひっくり返る程変わるのか?と言うと疑問です。計画的かつ段階的に長期間継続すれば変わるかもしれません。

しかし、経験的には割合は変わらないと思います。トレーニングすればそのトレーニングで高められた能力はアップするとは思いますが。後は、スプリントの技術や最大筋力、筋肉量、長距離を走る省エネなフォームと技術が競技力に占める割合が大きいと思います。

長距離選手のスプリントトレーニング

長距離選手が短距離を速くなるのは見たことがありません。長距離選手は、不器用な人が多いです。スプリントの技術を練習しようという気持ちも持ちません。長い距離にこだわるので走行距離が減るような練習を好まない傾向も強いです。身体能力的には素質があったとしても、専門が長距離だという意識とトレーニングの考え方が能力の幅を狭めている原因になっていると考えられます。

しかし、中には器用な選手もおり、今まで取り組まなかったスプリント動作をやることで、スピードの出し方のコツをつかんで1500mが一気に伸びる選手もいます。そうすると相乗効果で5000mの記録も引き上げられます。スピードにゆとりが生まれるので、柔らかく無駄のないフォームを獲得するきっかけになります。これも速筋繊維が増えたのではなくて、スピードの出し方=技術的な問題を解決したことによる効果だと考えられます。

長距離選手が短距離的な能力を改善したい場合の練習例
スピード練習の導入やスピード感を戻す練習方法

短距離選手の持久力トレーニング

逆に、短距離選手が積極的に長い距離をトレーニングに取り入れて長距離のタイムが劇的に伸びたのは見たことはあります。この場合、短距離の能力をそんなに落とすことなく、長い距離も走れるようになるという相反する能力を併せ持つ人がいます。こういう選手が、400-800mタイプの選手です。私の元教え子で、100m10"9台、800m1'53"台、5000m15'45"がいます。

彼が、高校を卒業したばかりの頃は、400m48"台、800mを志しましたが柔らかい走りが上手くできずに、800m2分もなかなか切れませんでした。ランニングの技術的な成長で、スピードを殺さずに省エネな走りができるようになり、伸びました。単純に遅筋繊維が増大したから速くなったとは考えにくいです。

中距離選手のスプリントトレーニングと持久力トレーニング

800m、1500mを専門とする選手が最も幅広く走れます。しかし、中途半端です。短距離が速い訳ではなく、長距離も速い訳ではありません。

800m専門であれば短距離寄り、1500m専門であれば長距離寄りの特性になります。

夏場は短距離と一緒に練習してマイルリレーのメンバーとして活躍し、冬場は長距離と一緒に駅伝メンバーとして活躍する選手も多いでしょう。

まとめ

筋繊維の分類は、あくまでも医学的なもの、学術的なものとして知識としておさえておけばよいと思います。

実際は、本人の目標、やる気、技術的な進歩、トレーニングの継続でパフォーマンスは向上します。

その結果、検査をしてみたら速筋繊維が増えていたとか、遅筋繊維が増えていた、という結果論になると思います。5000円ほどでこの検査ができるとネットで見つけたことがありますが、私はやろうとは思いません。

やるならば、計画的にシーズン直後(好調な時の後)に測定して、冬季トレーニング直後=次のシーズンインの直前に再度継続して、その変化を確認するなら意味はあると思います。

狙い通り、狙った筋繊維が増えているか?全体の筋肉量が増えているか?等、検証するための要素のひとつではあると思います。

私は、そこまでやっている人を見たことも聞いたこともありません。

今、自分に必要なことは何かをよく考えましょう。

年間を通して計画的なトレーニングを考える。

練習日誌を書くコツ

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