大会前の調整練習って何ですか?


大会直前になって調整練習をアドバイスしてください!と質問を受けることがあります。

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できるなら、計画的に何週間も前から調整練習を考えておいて、その時期が来たら実行するだけにするべきです。本来は、大会に出ようと決めた時点で調整練習がついてくるものです。

私は最低4日、無難に7日、できるならば10日くらい調整期間が欲しいと考えています。

根本的な話をすると、継続的にトレーニングをして来た選手だけに調整練習が必要であって、練習をさぼったりほとんどやってない人は調整練習という概念は必要ありません。全く違う話になります。

後者の話は置いといて、今はトレーニングを積んだ選手の調整について書きます。

目標とする大会の種目、距離によってそれまでのトレーニングが変わって来ます。長距離走の練習として普遍的な基本jog(心拍70%)、回復jog(心拍60-65%)、ATペース走(心拍80-85%)は心拍数の割合で設定するものなので絶対に変わりませんし変えてはいけません。レベルアップ、ダウンした時にレベルに合わせて設定ペースは変えます。

普遍的な基礎トレーニングは変えませんが、大会の種目や距離に応じて、ポイント練習と呼ばれる高強度のトレーニング内容を変えて、専門性を高めていきます。
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具体的には、中距離種目である800mと1500mに出る時は、どちらかのレースペースをメインにポイント練習を組み立てます。私の考え方は、速いペースの種目=短い方の距離の練習をしておくことで、ひとつ上の長い距離に対応可能というものです。メリットはスピードと筋力にゆとりが生まれて、柔らかい走りができるようになり、その結果ランニングエコノミーが向上して(効率的にになる)タイム短縮の可能性が高くなると考えています。

スピードが速いトレーニングをすると距離が不足しますが、反復する本数を増やして回復力を高める目的も達成することができます。その結果、予選と決勝を二本走れる身体になります。1日に予選決勝の二本走れる800m選手は1500mも強いです。予選は速いけど決勝はバテバテの選手は1500mの適性無しです。400m-800mの方が向いているスピードタイプに多い傾向です。

次に、長距離種目の5000mと10000mですが、基本的に5000mを目標にしたペースでのインターバルをポイント練習にすれば良いと思います。ざっくり言うと5000m15’00(3’00ペース)の人は10000m31’00(3’06)くらいになります。5000mのペースを3〜4%落としたものが10000m目標ペースになります。ここでも、速い動きはゆとりあるフォームにつながります。距離を補うのはポイント練習ではなく、基礎的な基本jog(70%)とそのひとつ上の速い強化jog(心拍70-80%)で20km前後の走り込みを日常的に行うことで基礎的な持久力の向上を狙います。月450km〜600km走れるようになれば10000mは走れると思います。1日平均15〜20kmです。

次に、特殊な種目である3000m障害です。3000mSCと表記されるのはステープルチェイスの略で、障害物を越えて走る過酷なレースです。3000の間にハードル28回、水濠7回を越えなくてはなりません。
1500mを走れるスピード持久力、筋力と5000m以上を走れる持久力を兼ね備えた選手が強い種目です。

トレーニング内容は基本的には1500mと5000mの練習内容になりますが、技術練習として障害を越える動作を反復練習して安全に速く越える技術を身につける必要があります。通常のランニング動作には無い強烈な上下動による衝撃が身体に加わるのでそれを意識したトレーニングをしておく必要があります。これを大会前にちょこちょこっとハードルを跳ぶ練習だけやるようでは走れません。基礎的な筋力を強化しておく必要があるので、調整練習でハードルを跳ぶだけではダメです。調整練習ではハードルを跳ぶ動作の「確認」だけです。

以上のように、陸上競技中長距離と言えども種目によってポイント練習が変わります。これらを積み重ねて来た選手に調整練習が必要になります。

やっと本題に入ります。調整練習とは、それまで蓄積してきた疲労を取り除き、心身をレースに向けて最高の状態に整えることです。また、疲労を取り除くだけでなく、レース強度を短時間で行うことで筋力と耐乳酸能力を向上させます。

練習をしていない人は疲労もないので調整する必要がありません。練習していない人は大会前に余計な練習をしないことが疲労を溜めないことであり、それが調整と言えるかもしれません。

ポイント練習を入れるタイミング
大会の3日前または4日前です。理由は、超回復のサイクルです。超回復は約48〜72時間と言われており、日数では2〜3日です。大会前日に超回復している必要があります。

大会の前日
2通りあって、基本jogと流しで極軽めに仕上げる方法と、レースペースでレースの入りを意識して走る方法です。どちらが自分に適しているか試してみる必要があり、その時その時でどちらかを選択しても良いでしょう。

大会の2日前
完全休養日または回復jogで回復に努める。

大会の5または6日前
ポイント練習が4日前の場合は6日前に、ポイント練習が3日前の場合は5日前に、ATペースでのペース走を入れます。ATペース走はポイント練習ではなく最も大切な基礎練習です。シーズン中を通して定期的にやる必要があります。
ATペース走の後+インターバルで走りを整えます。目標とするレースペースで中距離なら200m×5または300m×5、長距離なら400m×5程度の距離で練習を引き締めます。

大会の一週間前は基本的なルーティーンの練習の流れで淡々とこなします。ここで慌てていつもやらないようなことを敢えてやる必要はありません。

これらのことを加味した調整メニューは、それぞれの走力レベルに合わせてメニュー検索できるようになっています。

こちらの
練習メニュー検索から自分のレベルに合ったメニューを探してください。

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