800m2’05″を切るために、必要な他の種目の実力は?
一概には言えません。
個人の持ち味があって、得意な距離や能力があります。陸上競技は、その一番得意な能力を専門種目にしていると言えるでしょう。
それでは次に、得意分野について考えてみます。
瞬発力が得意な人、持久力が得意な人、その中間の人
言い方を変えると、
短距離タイプ
中距離タイプ
長距離タイプ
の3分類です。
短距離と中距離の間、また中距離と長距離の間の人も当然います。私たち人間は機械ではありませんので、無段階に持ち味があります。
自分が何の力が得意なのか、また苦手なのかを自分で把握することが大切です。
簡単に説明するために3タイプで話を進めます。
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タイプ別で見た、他の種目で必要な記録
→タイプ別の記録一覧表
この表から、各タイプ800m2’05″0の隣の記録を以下に抜き出しました。
短距離タイプ
400m53″9
1500m4’35”
3000m10’12”
5000m18’07”
中距離タイプ
400m55″1
1500m4’22”
3000m9’41”
5000m16’40”
長距離タイプ
400m55″3
1500m4’07”
3000m9’05”
5000m15’37”
長距離タイプの選手は、800mよりも1500mを専門にしており時々スピード練習として800mに出る程度の人が多いと思います。
ですので、800mをメインに考えている選手は短距離タイプか中距離タイプの人だと思います。
400m53″9〜55″1が必要なスピード
100mあたり13″4〜13″7を維持しなければならないスピードです。
この練習を参考にして、まずは100mでそのスピードを如何にラクに、無駄な力を入れずに走り続けるかを研究してください。
→100mを反復する基礎的なスピードトレーニング
その次のステップが、
200m×3本×2set
設定は27″0切り
つなぎは100m歩き約2′
set間10’rest
各setで意識するイメージ
①前半の200m入り速め
②中間の200m一定ペース
③後半200mラストスパート
仕上げの練習が、
レペティション300m×2〜3本(15’rest)
設定13″4ペース=40″2なので40″0切り
導入当初や疲労度合いによっては2本
①400mの入り、スパート無し
②中間走、コーナー直線コーナー、スパート無し
③ラスト300m、直線コーナー直線、スパートする!
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800m2’05″を切るための練習
インターバル200m×5本×2set
設定31″2(2’05″ペース)
つなぎjog200m90″
set間10’restまたはjog600m4’30”
800mのレースのどこかの部分をイメージしながら走ります。入り、前半、中間、後半、ラスト等
インターバル300m×3本×2set
設定46″後半
つなぎjog100m45″
set間10’rest
上の200×5×2をより実戦的にしたものです。休憩が短く、一度に走る距離が長いので3本目はレースに近い感覚になります。
入り、中間、ラストをイメージします。
切り替え走300m×5〜8本
設定、入り200m32″0+ラスト100m15″切り
つなぎ300m歩き約5′
レースのラスト300mをイメージしたものです。中だるみして32″かかる想定からラスト100mで切り替え、スパートする感覚を掴みます。
レペティション
400m×3(15’rest)
設定
①800mの一周目より少し速め。
②それより速く
③全力
最初は2本から行います。ペースを遅くして3本やるより、速い2本の方が効果的です。3本目は入りから突っ込んで、中間疾走を上手く走り、ラストスパートまでしっかりして出し切ります。
セット走(600m+300m)×2set
設定1’33″0、jog200m90″、32″0+14″台
set間15′
600mはレースの入り〜600m通過をイメージ
つなぎは400トラックの場合は600m地点から50m進み、水濠で折り返して150m戻り、1500mのスタート位置から300mを走ります。ラストの300mは切り替え走でスパートします。
レペティション600m+400m+300m
設定1’33″、58″、41″を目標
800mレースペース、後はそれ以上で。
回復時間15’rest
1500m4’22〜4’35が必要なスピード持久力
インターバルなどで目指すペースはこれです。レースペースです。
スピードタイプ〜中間タイプ
100m17″4〜18″3
200m34″9〜36″6
300m52″4〜54″9
400m69″8〜73″2
1000m2’55″〜3’03”
練習メニュー
インターバル300m×5×3
設定タイム52″〜54″
つなぎjog100m(インターバル走るタイムと同じ約50″)
set間10’restまたはjog700m約6′
①②一定ペースでリズミカルに。
③3本まで一定、ラスト2本上げる-3″目標
レペティション
1000m+600m+300m(15’rest)
①1000mは1500mのペース前後
②600mは800mのペース1’33″目標
③300mは全力、400mのペース40″前後目標
このメニューは、1500m、800m、400mのスピードが全て入っています。
1本目は、余力を残したリラックスした走りを。
2本目は、予選の疲れがある決勝レースの入りをイメージして。
3本目は、スピード持久力のトレーニングであり、疲れがある中でも気持ちを切らさずに最後まで走りきる心の強さも試されます。
3000m10’12〜9’41が必要な持久力
レースペース=インターバル練習での設定ペース
スピードタイプ〜中間タイプ
400m81″6〜77″4
1000m3’24″〜3’13”
インターバル400m×10本
設定81″〜77″
つなぎjog200m(インターバルで走ったタイムの2倍約2’40”)
力みの無いリズミカルな走りを。
800mのために、必ず必要な練習ではありません。秋冬の駅伝シーズンにやれば良い練習です。
また、トラックシーズンでもバランス良くトレーニングしたいと考える場合は、この様なメニューになるという参考にしてください。
レペティション1000m×3(15’rest)
①3000mのペースより5″〜7″速く
3’05スパート無し
②3’00スパート無し
③2’55スパート有り!
1500mより遅いペース、3000mより速いペース
この練習をしておくことで、3000mを走る時のゆとりが生まれます。
この練習も800m対策ではありません。
冬季練習や駅伝の時期にやれば良い練習です。
練習メニューのバリエーションとして参考にしてください。
一週間全体のメニュー
練習メニュー検索をして確認してください。
中学生は現在の3000mのタイムで、高校生以上は5000mのタイムで選択してください。
基本的な持久力を強化する練習は、800mのタイムから算出するのでは無く、持久力の能力を現す3000mまたは5000mを基準にします。
jogやペース走は、総走行距離の大半を占める大切な基礎トレーニングです。
自分のレベルに合ったペースで、適度な距離をコツコツと練習しましょう。
無理に距離を伸ばしたりすると、極度な疲労で練習の流れもおかしくなります。膝などの怪我のリスクも高まるので、無理な走行距離を走る練習はやめておきましょう。
→練習メニュー検索で自分に合ったメニューを確認する。
怪我の予防
怪我は予防して、練習を中断しないことが一番です。もし、怪我をしてしまった場合は、焦って練習を再開して再発しないように、充分注意してください。諦めてはいけません!!リハビリやその時にやれることをしっかりやっていれば道は開けます。
この練習をこなせば800m2’05″が切れるのか?
そういう話ではありません。2’10″の選手がここで紹介したペース設定でメニューをこなせば力がついてきて、2’05″前後で走る力がつくと思います。
しかし、かけ離れた記録(2’20″など)の選手はこのメニューをこなすことはできません。背伸びし過ぎです。今の実力に合ったメニューをこなしていくことで、少しずつ力がついてくるものです。
高すぎる目標や設定タイムでは好結果は生まれにくいです。目の前の達成できそうな小目標を決めて、それを達成し続けてください。いきなり飛躍は難しいです。
例えば、800mなら
2’10→2’08
2’08→2’06
2’06→2’04
2’04→2’02
2’02→2’00
そして1分台
と言った具合です。
800mで2″0縮めるためには、400m1″0、200m0″5、100m0″25です。
100mあたり約50歩で走っているので、1歩あたり0.005秒の短縮になります。1歩あたりのこんな僅かな時間の積み重ねが800mで2秒になるのです。
効率的なフォームがいかに大事かわかると思います。
キツイ練習をすれば速くなる、という訳ではありません。キツくてメチャクチャなフォームでもがいているようではタイムは出ません。逆に遅くなります。
まとめ
一番大切なのは、レースペースの練習です。記録会や小さな大会に出ることが最も効果的な練習になると思います。きちんと練習を積んできて、最高のフォームで最高のイメージを持って、最高の精神状態でスタートラインに立つことが大事です。
スピード練習は絶対に必要です!
練習では、インターバルやレペティションでレースを分割したイメージをしっかり持って、ペース感覚やリズム感、後半の乳酸が溜まってからの身体の感覚を何度も体験しておきます。
レースやタイムトライアルで、それをつなげて走ります。
レースを走ると、良かった点、悪かった点が分かります。
それをまた次の練習に取り入れて、どんどん自分なりの意識付けを加えて行くことが大切です。
狙った大会や一発本番だけはやめた方が良いです。何度か記録会で自分のレース展開を試しておくべきです。
一人でも多くの選手が、自己ベストを更新できることを願っています。
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