陸上競技部、特に中学生と高校生は練習時間が長いです。夏場になると気温が高いことで発汗量も増えます。強化練習で午前と午後に練習することもあるでしょう。
そういった時に、ガクンとペースが落ちる、バテバテで動けない、体がだるくて力が入らない等の症状になったことがある人は少なくないと思います。
今回は、その原因と対処法を考えてみます。
水分補給
人間の体は約7割が水分です。血液や体液、組織液などです。そのうち3%が損失するとパフォーマンスが急激に低下すると言われています。
簡単に計算すると、体重が100kgなら約70kgが水分ということです。ざくっと70ℓです。そのうち3%は約210mlです。
女子ならだいたい体重50kgで3%は約105mlになります。男子なら60kgとして約126mlです。コップ一杯未満の量です。たったこれだけの損失でパフォーマンスは急激に低下します。
長時間練習では、発汗による水分損失をこまめな水分補給で補う必要があります。
面倒くさがって疎かにすると突然体が動きにくくなります。
ゴクゴク水を飲むのではなく、小まめに一口ずつ定期的に飲む方が良いです。アップの途中やアップ後に。インターバルならセット間に。レペティションなら一本ごとに。ペース走なら走る前後に。二回に分けてペース走するなら間にも。
特に暑くて発汗量が増える時期はこまめに水分を摂ることが大切です。
しかし、水分を摂るだけではパフォーマンスの維持はできません。
理由は、電解質、ミネラル類の損失が発汗と同時に起こるからです。
電解質、ミネラル類とは?
過去記事で取り上げていますので、知識が無い方はこちらをご覧ください。
水分と同時に損失したミネラル類も摂ることが必要になります。
マルチミネラルのサプリメントを利用するのも方法です。
ミネラル類の損失は走っている途中の腹痛の原因にもなり得る
これも過去に記事で取り上げています。こちらをご覧ください。
絶対に腹痛になる訳ではなく、身体の様々なバランスや条件によってはなり得ると覚えておいてください。走っている最中の腹痛は予防しにくいものです。初心者なら慣れでなりにくくなりますが、ベテランにも起こり得るトラブルです。考えられる予防方法のひとつとしてミネラルバランスの維持を心がけることはマイナスにはなりません。
陸上競技以外のスポーツからエネルギーとミネラルの補給のヒントを得る
エネルギー、ミネラルの補給と言えばトライアスロン界や長距離自転車レース界では常識中の常識です。
参考までに、トライアスロンのレースで私が出場した一番長いのものは競技時間が5時間半になります。これを陸上競技に応用する話を紹介します。トライアスロンではこれの倍の距離があるironman(アイアンマン)という距離もあります。まさに鉄人です。
紹介した私のトライアスロン経験では、
スイム2500m約45分
バイク100km約3時間
ラン23km約1時間40分
を続けます。
元800m選手としては理解不能な距離に挑んでいます。笑
これまで2分以内に全てを出し切る競技をしていましたが、5時間半に伸びました。
これによって、エネルギー代謝、補給のタイミング、ミネラル類のバランス等、トライアスロンに取り組むにあたり多くのことを勉強する必要性が出てきました。
エネルギーを含むドリンクだけではダメです。電解質のバランスを維持するためにミネラル類を含むドリンクにしなければいけません。ドリンクだけではエネルギー補給は不足します。少量で高いエネルギーを含むエネルギージェルを摂ることで補います。これにカフェインが入っていると、疲れた脳や身体に刺激を入れることができます。
陸上競技のレース自体は非常に短時間短距離で終わります。2日、3日続く大会期間で何レースもこなす必要がある選手は、トライアスロンのエネルギー補給、電解質のバランス維持でミネラル類の補給を参考にすることができます。
おそらく、学校の先生、陸上競技しかしていない先生ではこの辺りの知識に疎い可能性があります。自分で考えて補給しましょう。
エネルギー切れの前にミネラルバランスの崩れを疑う
発汗量の多い夏季や走り込みの多い冬季では、エネルギーが体内にあってもエネルギー代謝ができない状態に陥ることがあります。発汗によるミネラルバランスの崩れです。
エネルギーが枯渇してしまうこともありますが、陸上競技ではほぼあり得ません。距離なら約30km〜35kmを無補給で走ればエネルギーは枯渇してしまいます。フルマラソンの【壁】と言われるところです。
壁ではなくエネルギー枯渇です。これをハンガーノックと言います。
空腹が続くと血糖値が下がり力が入らなくなります。
陸上競技の長時間練習では、ハンガーノックでは無く、身体の水分不足、ミネラルバランスの崩れが原因で身体の不調が起きることが考えられます。
熱射病、日射病、バテている、疲労等の言葉で片付けられることがよくあります。
それらの原因は何なのか?メカニズムと予防方法を知って、自分の身を自分で守らなくてはなりません。
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