バイクが苦手な女子トライアスリートへのアドバイス


トライアスロンをやっている女子選手からバイクが苦手だという話をよく聞きます。

悩みの原因はいくつもあります。

安全に走れる練習場所が近くにない

練習する時間が取れない

バイク機材の知識が無い

バイクのセッティングやポジションがわからない

ペダリング技術がわからない

根本的なトレーニング方法がわからない

、、などです。

スイムは、屋内で営業時間内であればいつでも練習できます。

ランは、時間を問わず自宅から走ったり、多少の悪天候でも安全に練習することができます。

スイムもランもやる気さえあれば比較的いつでも練習できます。

しかし、バイクはそうはいきません。バイクを準備しなくてはいけないし、安全に走るためには練習場所まで移動する必要もあります。天気が悪いとなかなかその気になれません。

そんな選手のみなさんにアドバイスしたいと思います。

 
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トライアスロンに取り組むエイジ女子選手

エリートクラスであれば、水泳の実力が絶対不可欠です。水泳大会と言っても過言ではありません。スイムを集団で終えて、そのままバイクのパックが形成され、高速でドラフティングしつつローテーションで速度を維持します。スイムで遅れた選手は、単独のバイクになりあっという間に周回遅れでレースをやめさせられます。完走することさえもできません。これがエリートレースです。

しかし、エイジのレースではドラフティング禁止で周回遅れでリタイヤはありません。制限時間内であれば完走することができます。自分自身との戦い、これがエイジのトライアスロンの魅力です。

競技時間の割合ではバイクが最も長いです。ですので、バイク力をつけることがタイム短縮のために最も効果的で簡単です。

スイムを克服することが1番難しいと思います。スイム経験者との技術的格差はほとんど埋まることはありません。

ランは継続したトレーニングを積めば徐々にタイムが伸びてきます。最も努力が反映される種目だと思います。

ここで、各種目の距離と時間を考えてみます。

スタンダードディスタンスなら、スイム1.5km、バイク40km、ラン10kmです。

ざっくり競技時間で考えてみると、S25〜30分、B70〜80分、R40〜50分くらいです。

バイクがダントツで長いです。

ランが得意な選手でも苦手なバイクで体力を消耗して、ランで本来の走りができない姿よく目にします。バイクの力がつけばつくほど、バイクで余力を残すことができ、良い状態でランをスタートすることができます。バイクで余力をあまり残さずにバイクのタイムを上げて順位を大きく上げる展開に持ち込むことも可能です。

スイムで5分縮めるのは困難ですが、バイクで5分短縮するのは割と簡単です。

そこで、タイム短縮に効果的なバイク練習方法を必要最小限のトレーニング量で考えてみます。

 
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基礎的持久力はスイムとランで養われている。

バイクが苦手ということは他の種目が得意だと言えるでしょう。体力的な基礎がスイムとランで養われていると考えられます。この場合は、ロングライドや一定ペースの40kmライドなどは積極的にやる必要はありません。

ロングライド→心拍60〜70%
40kmライド→心拍65〜75%
私ならこのように負荷を設定します。ピラミッドに例えると下半分です。

これらは、水泳と陸上長距離で十分にできています。これより負荷の高いトレーニングを短時間でピラミッドの上半分に載せるイメージでトレーニングプランを考えます。

 
 

バイクでのインターバル

陸上のインターバルトレーニングなら、1000m×5、200m×5×2、300m×10などです。走る距離とタイムを決めて、つなぎの距離とタイムも決めます。

水泳のインターバルトレーニングなら、100m×10(2’00″サークル)、200m×5(4’00″サークル)などです。サークルで時間制限を設けて泳いだ残り時間の数秒〜十数秒を休むスタイルが一般的だと思います。

バイクでも同様に考えれば良いです。【自分が必要だと考えるポイント】をインターバルで上げる区間に入れて、それを反復します。

インターバルは、距離や区間で決める方法とタイムで決める方法が考えられます。

 
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起伏のある周回コースを用いる場合

緩い登り、平坦区間など強調したい区間を速く走れば良いです。例えば、周回コース5km×4周する間に、平坦区間800mだけを全力で走り、他はイージーでつなぐ方法。トップスピード強化です。

また、登り区間500mだけを全力で登り、他をイージーでつなぐ方法。登り強化です。

その両方を強調する方法もあります。より実戦的になります。

また、周回ごとに強弱をつける方法もあります。

1,3周はイージー
2,4周はハード

ハードで走る周回をレースをイメージして走ります。イージー区間で反省しながら次の課題を整理しておきます。

 
 

平坦な周回コースを用いる場合

タイムで強弱をつける方法が適しています。

①2’サークル20″(全力〜全力手前)×20本
→女子選手なら40’で約20kmになるでしょう。

②2’サークル30″ハード×20本

③1’サークル15″ハード×20本×2set
set間はイージー5′

このようにステップアップして、トップスピードも上げて行きます。

②と③のイメージとしては、4人でローテーションを回している場面です。③の後半はかなりキツくなるので、最初は20本から、次に25本、30本と徐々に高強度の時間を伸ばせば良いです。

全力〜全力手前と書いていますが、最初はやや抑え気味でも良いです。30″〜15″ハードで上げ区間ですが、女子ならレースで走るスピード、35km/hを超えることを目標にしてください。

後半は35→40km/hと自分のスピードを高めてください。一瞬でも40km/hを出してみる、力を出すことが大事です。

じわじわ上げるのでは無く、一気に上げてください。瞬発力も強化できます。これは、コーナーの立ち上がりで効果を感じることができます。

上げる時は、ペダリング27〜30回転を数えるとだいたい15″くらいです。ケイデンス108〜120rpmくらいになります。

レース時はおそらくケイデンス100〜110で推移すると思います。

レース時よりも速く重いギヤを回してトップスピードを高めておくことで、レース時にゆとりを感じられます。さらにドラフティングに入ると空気抵抗が減るのでかなりラクになります。体力を温存することができます。

このトレーニングでは、たった20km約40’ですが、心拍はかなり高い数値を維持することになります。

ハードな上げ区間で上がった心拍は、イージーの回復区間でも下がりません。回復区間ではギヤを軽くして速度を落として筋力を上手く休めてください。メリハリです。しかし、心拍数はゆるやかに下がって来ますが、すぐに次のインターバルが始まります。

これがミソです。

インターバルは、筋力を強化しつつ心肺機能を高めるトレーニングです。

だらだらとロングライドを70kmするよりも20kmインターバルした方が、短時間で実戦的な能力が身につきます。

 
 

インターバル前のアップ、ダウン

例えば、自宅から周回コースまで移動することをアップとダウンにすることができれば無駄な時間はありません。

私は、
自宅→周回コースまで約5km
周回コース10km×2をインターバル2分サークルで
周回コース→自宅約5km
合計30km52分で終了

その後、自宅にバイクを置いてすぐにラン練習に移行、、、という具合に無駄な時間をつくらないように工夫できます。

女子なら30km65’くらいで終えられると思います。

 
 

女子強豪エイジ選手なら都道府県の国体代表になる可能性がある

普段エリートレースには出ず、ドラフティングレースに縁がない選手でも、国体選手になる可能性は充分あります。国体はドラフティングレースです。ノンドラレースしか出たことが無く、バイクレースの経験も無いトライアスロンの選手はたくさんいます。特に、女子選手に多いです。

このような選手が国体代表になった時に困るのが、ドラフティングです。

バイク練習量が少ない上に、ドラフティング経験もあまり無い場合は、危険も伴います。もし、国体に出ることが決まったなら、ドラフティング練習、ローテーションの練習は必ずやっておくべきです。

先ほど紹介した③の1’サークル15″ハードは、一人ででローテーションを回すイメージです。その練習では、力のオンオフを極端に練習することにもなります。

その後、複数でローテーションを回す練習に参加することで、後ろに下がって前につき直す難しい場面で千切れてしまうことを防ぎます。

千切れてしまう原因は、単に力不足の場合と、ドラフティングの技術が未熟で前車との間を空けすぎて空気抵抗を受けて失速してしまう場合があります。

万が一、間が開いてしまったり、アタックをかけられて千切られそうな時に、インターバル練習のクランク30回転ハードが効果を発揮します。約15″の急加速で追いつくことが可能になります。

 
 

固定ローラーの活用

バイク練習は、ランやスイムと違って自宅の中で練習することも可能です。

固定ローラーは飽きるし嫌い、、という選手はいます。

しかし、目的をしっかり持って短時間で意味のあることだけをやるようにすれば考えは変わると思います。

先ほどのインターバルを固定ローラーでやります。

私が最近やった練習の例です。

アップ5′
1’サークル15″全力×20本=20′
ダウン5′
合計30′

これはキツかったですがとても効果的なトレーニングです!!先ほど紹介した4人ローテーション15″交代のイメージです。

心拍数はだんだん上がり、終盤は90%を超えます。

バイクレースのタイムトライアル10km
平均心拍89%、最高心拍91%
なので、これに近いトレーニングができているとわかります。

屋内では風を受けないので、ものすごく汗をかきます。タオルを何枚か準備して、扇風機を使うことをおすすめします。

安全に、練習場所を移動することなく、短時間で効果的な練習です。

多忙なジュニア選手だけでなく、大学生や社会人トライアスリートにもおすすめの練習です。

 
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バイクとランの複合練習

ブリックトレーニングとも呼びます。
トライアスロンを目標にする場合は、バイク→ランが一般的です。デュアスロンも視野に入れるならラン→バイクもやる必要があります。

主観的な感想ですが、トライアスロンよりもデュアスロンの方がハードだと思います。

バイク+ラン練習の参考
 
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まとめ

女子トライアスリートは、バイクに苦手意識を持っている人が多いと思います。バイクに乗ること以外にもメカニック的なことも不安でしょう。だからこそ、馴染みのバイクショップがあるはずです。

しかし、そのショップがサイクリング主体の場合、練習会に時々参加しても目的が違うので、ロングライドであることが多いと思います。自転車仲間とのコミュニティとしてはとても良いことだと思いますが、トライアスリートとしてはあまり得ることは無いかもしれません。

国体などのドラフティングレースでは、ショートのDHバーを装着することになります。(好みとタイプにもよりますが、DHバー装着は多数派です。)当然、商品知識はあるでしょうが実戦での使用経験やセッティング方法、ショートDHバーを装着した際のポジションの出し方やアドバイスは得られないかもしれません。

バイクショップのチームにも色々レベルがありますので一概には言えません。実業団登録をしてE1クラスでがんばっているようなバイクショップであれば、積極的に参加してロード専門の選手たちに色々教えてもらう機会があると思います。

一つのバイクショップにこだわらずに、積極的に自分にプラスになるチームの練習会に参加することがバイクのコツを掴む近道だと思います。

話は戻って、本来やるべきことは、バイクに乗る習慣をつけること、毎日短時間でもバイクに乗ることです。1日20分、30分乗るだけでバイクの筋力維持強化、ペダリングスキルの向上が期待できます。

バイクのレベルが低い人ほど即効性があります。レベルが上がってくると乗る距離や強度も必要になります。

固定ローラーを持っていない人は、購入を検討してみてはいかがでしょうか。

地方で活動する選手でも、工夫次第でやれるはずです。周りの人たちにアドバイスをもらい、環境を最大限に利用して、自分だけのスタイルを確立すれば良いと思います。

生活の中に、如何にトライアスロン3種目を組み込むかが課題です。そして、その生活を楽しむことが一番大切なことだと思います。
 
 

固定ローラーにもグレードがあります。この下から2番目のタイプが価格と機能のバランスがとれているのでおすすめです。箕浦は日本製で静粛性が高いのも魅力です。負荷(重さ)も充分です。

私はこのタイプを使用しています。上の商品との違いは、フライホイールが重く、平地を走っているような慣性を得られることです。しかし、慣性を得るまで回転を上げると騒音もそれなりになるので、実際は負荷を高めて重くして軽いギヤで回しています。速度は遅いけど重い状態です。坂を登っているイメージです。低速では慣性は働きません。ですので、私の使い方では上の商品で充分でした。

 
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